軽妙な語りを披露するのは、一人前の落語家とされる「二ツ目」に今年1月に昇進した新潟市出身の落語家・立川らく萬さん(30歳)です。
昇進後初めてとなる地元での高座に密着、故郷での晴れ舞台にかけた思いを取材しました。

会場には多くのお客さんが駆け付けた

会場を囲む桜が満開となった日に「二ツ目」昇進後初めてとなる地元での落語会が開かれました。客席は大入り満員。

開演前、緊張気味のらく萬さん その理由は…

開演前に客席の様子を見ていたらく萬さんは、部屋をウロウロしながら少し緊張気味です。その理由は、今回選んだ演目にもありました。

【立川らく萬】
「すごい難しい演目なんですよ。本当はやりたくなかったんですけど、母親がリクエストしまして…」

新潟大学の落語研究会出身で、立川志らく師匠に弟子入り

らく萬さんは新潟大学落語研究部を経て、立川志らく師匠に弟子入り。
下積み期間の「前座」を8年ほど経験し、今年1月、晴れて自分の落語会を開催できる「二ツ目」となりました。

“羽織”は地元・新潟市の呉服店で仕立てた

二ツ目になると、『羽織』を着ることができます。
この黒い羽織は新潟市内の呉服店で作ったもの。気合を入れて舞台袖へ…。
出番を待つ間、目を閉じて練習を繰り返します。

“難しい”演目は「棒鱈」

母親のリクエストだという難しい演目は『棒鱈』。
料亭で酔っぱらった江戸っ子と隣の部屋にいた田舎侍との一悶着を描いたお話で、
田舎侍の言葉遣いや途中で入る歌が聞きどころの一つ。
もう一つの演目もやり遂げ、昇進後初めての落語会は無事に幕を降ろしました。

落語会を終えたらく萬さんは…

【立川らく萬】
「落語としては、まだまだというのは痛いほど分かるというか、実感した」

客席には同級生の姿もありました。

らく萬さんの同級生は…

【同級生】
「どんどん横に太ってデカくなっていったなと思いながらも、それに見合う大きいお笑いを出せる人になったんだなと、とてもうれしく思う」

地元・新潟の存在が、長い下積み期間の支えになっていたと言うらく萬さん。
地元のファンに感謝を伝えます。

【立川らく萬】
「懐かしい人たちにもいっぱい来て頂いたんで、本当に新潟なしでは私は語れない」

次の目標は、公演の主役となる「真打」。
もう一つ上の階級です。

新潟市出身の落語家・立川らく萬さん

【立川らく萬】
「次は真打。いろんな方に知ってもらって聞きに来ていただけるような、そういう実力を身に着けるところがまず目標ですね」

次は真打を目指して…

萬代橋の「萬」から自身の「萬」の字を取ったという地元愛に満ちたらく萬さんは、自身の定例落語会を新潟市中央区のイベントスペースで偶数月に開催しているということです。