新潟市の新年度予算案の中身を詳しく紹介します。

3977億円の予算のうち最も多いのは、高齢者や障害福祉・保育園の運営費などに使われる「民生費」で1269億円です。次いで「教育費」、「土木費」となっています。
「土木費」は、除雪対策の費用が増えたことなどで前の年度から12.5%の増額となりました。
一方で15%と大きく減ったのは「衛生費」です。
「衛生費」には、新潟市が力を入れている『出産・子育て支援の応援事業』も含まれますが、減額の主な要因は、ワクチン接種など新型コロナウイルス関連の費用が減ったことによるものだということです。
中原市政2期目の新年度予算案で、市長が繰り返し述べていたのが、“市民起点の予算編成”を目指したということです。

その中の一つ、『子育て支援』について詳しくみていきましょう。

新潟市では、産後の母親の身体のケアや赤ちゃんの沐浴、育児指導などを行う「産後ケア」への助成を拡充するとしています。

新潟市中央区にあるNPO法人『はっぴぃmama応援団』の施設(はっぴぃmamaハウス)では、30代のお母さんが「産後ケア」を利用していました。去年の夏ごろから通っているそうです。

【お母さん】「やはり出産後、なかなか休めなくて…。日々バタバタしている中で、ゆっくり体を横にして休める時間を作れるのが、気持ち的にもすごく休んだと実感できる」

施設内には、母親だけでゆっくりと入浴できるお風呂もありました。
赤ちゃんは保育士の資格を持つスタッフなどがお世話をします。

新潟市の新年度予算案では、産後ケアの助成制度の拡充に2560万円を充てるとしています。
新潟市内の産後ケア施設を日中に利用する場合、現在は一日あたり平均9700円の負担となりますが、新年度からは2000円前後で利用できるようになります。

【お母さん】「すごく有難いなと思います。今までは実際、安い金額ではないというのが正直なところでした。利用したい人がかなり増えるんじゃないかなと率直に思いました」

【はっぴぃmamaハウス 松山由美子代表】「ようやくきた!という感じです。やった!という」

施設の行った調査では「産後ケアのために使うのは1日3000円まで」と考える母親が多かったということです。

【はっぴぃmamaハウス 松山由美子代表】「ママの気持ちと身体を大事にしてもらってリフレッシュできると、赤ちゃんに向かう気持ちも変わってくる。産後ケアで心と体を休めていってもらえるといい」

松山代表は「産後ケアを利用して“当たり前”という環境」が整えば、としています。

新潟市では新年度の予算案に『子育て支援』として、妊産婦医療費助成の所得制限の撤廃も盛り込んでいます。
これは、妊婦や産後間もない母親が医療機関を受診する場合に、通院では1日530円、入院は1日1200円の支払いで済むように助成する仕組みで、政令指定都市で初めてこの助成に対する所得制限を撤廃します。
これにより現在26人の受給にとどまる妊産婦医療費助成を、年間4500人ほどが利用できるようになる見込みです。

新潟市では前の年度と比べて、こうした子育て支援の予算を3億円増やしました。

【新潟市 中原八一市長】「子どもを産み育てる皆さんの負担が経済的・精神的にも大変重い現状の中で、その負担を少しでも軽減していきたい。新潟市としてあらゆる施策を総動員しながら『子どもを生み育てやすいまち』づくりに取り組んでいきたい」

また、今回の予算発表に合わせて新潟市は、1人の女性が一生の間に生む子どもの平均数である「合計特殊出生率」の目標も設定しました。
現在、新潟市の「合計特殊出生率」は全国平均を上回る1.33ですが、2030年までに1.38に引き上げることを目指します。

もう一つ、子育て支援以外で今回の新潟市新年度予算案のポイントとなるのが、市内8つの区役所の予算と権限を拡大することです。
8区それぞれの課題をスピーディーに解決できるようにするため、区長からの提案を積極的に予算化。区ごとの予算は5000万円増額されます。
さらに、施設や道路の修繕に使える予算も、前の年度に比べて1.5倍に増やします。
中原八一市長は「8つのカラーで成長し続ける『選ばれる都市 新潟市』を実現したい」と力を込めています。
