母と離れ離れ こんなにも長い時間…
曽我さんは子どもたちに、問いかけるように語りかけました。
「皆さん、自分がある日突然、お父さんやお母さんと離れ離れになるなんて考えたことがありますか。しかも全く知らない国で、ひとりぼっちで生きていかなくてはいけない出来事で、家族がバラバラになってしまうのです。でもこれは現実に起きたことなのです」

言葉も分からず、知らない人たちに監視され、逆らうこともできず、ただ故郷に帰ることだけを心の支えにして生きてきたそうです。
北朝鮮での生活の中には、つらく悲しいこと、苦しいことがいっぱいあったと曽我さんは話します。
そんな北朝鮮での生活の中で、曽我さんが肌身離さず持ち続けたものがありました。母から買ってもらった1本の腕時計です。
「この時計は“母”であり、私が何かくじけそうになると、叱ったり励ましてくれる宝物です。何度か修理を繰り返し使ってきましたが、最後には部品もないということから、止まってしまいました。時計が止まったそのときは、母に大変なことが起きたのではないかと、胸が締め付けられる時間が長く続きました。人を思う気持ちは、時計であっても、物であっても同じことです」
曽我さんは、「物を大切にすることをここで約束してください。大人になったとき、その宝物が存在していたら、私の言ったことを守ってくれた証拠になりますよ」と子どもたちに語りかけました。










