「タンスに隠してあったお金を持ち出して…」
曽我さんがよく覚えているのは、家族のために朝から晩まで身を粉にして働き通した、母・ミヨシさんの姿です。

この日も、そんなミヨシさんとの忘れられない思い出を話してくれました。
小学生だった曽我さんが、友達が新しいセーターを着ているのを見て、うらやましくなったときのことです。
「たんすに隠してあったお金を持ち出して、勝手に新しいセーターを買ってしまって。帰ったら絶対に怒られるんだろうなって思ってはいたんですけど、でも母親は怒らなくて…。『母ちゃんが服の一つも買ってやれんもんだし、ひとみが一人で買ってきたんだな。堪忍な』って」
「本当は私が謝らなければいけないのに母親のほうからそんな言葉をかけてきて、謝ってきて…。ああ、悪いことしたなと思って。怒られなかったからこそすごく心に刺さって、今でもそのことは忘れられないこととなっています」