書店が一軒もない新潟県出雲崎町で“本と人をつなぐ”場所を運営している人がいます。書店のない自治体が全国の4分の1ほどに上り“書店離れ”が叫ばれる今、この場所に託した思いとは?
人口4000人の街にある“図書館+古本店”
まるで隠れ家のような佇まい。昔ながらの蔵の軒下をくぐると、たくさんの本が待っていました。人口4000人ほどの小さな町、出雲崎にある『蔵と書』です。
「この間、絵本を一冊買って行ったら、孫がすごくはまっちゃって…」
「え~! うれしい、うれしい」
「余白の『・・・』と、そこも読まされて」

運営しているのは、地域おこし協力隊の石坂優さん(31)です。大阪生まれ、名古屋育ちの石坂さんは4年前に出雲崎町に移住。その5か月後には、長年使われていなかった蔵を活用し、本の貸し出しをする「図書館」と、販売を行う「古本店」の2つの面を備えた『蔵と書(くらとしょ)』をオープンしました。コンセプトは“本屋のない町に、本を”です。
石坂優さん
「普段出会わない本と出会ってほしい。なんとなく蔵の中って“非日常”の感じがするなと思っていて、ちょっと立ち止まって一息つける場所であれたらいいなと」