こうした点を含めて、これから加速する人口減少社会に対応した新しい交通体系を議論すべきだと青森大学で地域交通を研究する櫛引素夫教授は指摘します。

※青森大学社会学部 櫛引素夫教授「今までのJR東日本の仕組みは首都圏と新幹線でお金を稼いで、さらに駅ナカなどの収入で稼いで、地方の鉄道の維持に回す仕組みを作ってきたが、それがもたなくなってきている。問題の本質は鉄道を廃止するかしないかの向こうにある。人口減少と高齢化が進む地域でそれでも生きていける暮らしをどう作るか。新しいものを作る意識で考えていけば活路が開ける可能性がある」

津軽線は被災を契機に、人口減少といった地域の課題があらためて、浮き彫りになり、地域交通のあり方を見つめ直すことを迫られています。



2022年8月の大雨では津軽線と同様に五能線も大きな被害を受けて一時運休しましたが、去年12月には全線で復旧しました。この2つを比べたとき、津軽線は復旧工事の難易度がより高いというのも背景にあります。ただ、地元で復旧を望む声が多くあるのもとてもよく理解できました。そのなかで、将来あるべき姿を模索するには、まずは、JR側が津軽線の現状を情報公開しながら住民の要望の聞き取りを進めていく。こうしたものを丁寧に積み上げた先に見えてくることであるのは間違いないのではないでしょうか。