9月はがん征圧月間です。青森県民の死因の第1位である「がん」。人口10万人当たりで何人ががんで死亡したかを示す年齢調整死亡率が2004年から17年連続で全国で最悪となっています。こうした中、最先端の治療が同じ東北の山形で始まっています。
山形県の県庁所在地・山形市。人口24万人あまりのこの都市で世界最先端のがん治療を行っている山形大学医学部の「東日本重粒子センター」です。

中に入ってみると、「病院」という雰囲気はなく、まるで宇宙ステーションのような空間が広がります。特徴的なのは、隣接する病院から受付へと向かうこの70メートルの長い廊下。生命の誕生を意味する絵があり、「がん」との闘いに出向く患者が希望や勇気を持てるようなデザインにしたといいます。


ここで行われているのが「重粒子線治療」という世界最先端・次世代の治療方法です。現在、北海道・東北では山形のみで受けられます。
※山形大学医学部東日本重粒子センター 根本建二 センター長
「放射線治療が目指しているのは、がんにだけ放射線をあてること。120年くらいの歴史がありますが、その一つの究極の形に近いのが重粒子線治療」

重粒子線治療の最大の特徴は、X線や陽子線といったこれまでの放射線治療に比べ、がん細胞に狙いを定めて照射できるため、正常な細胞を傷付けにくくからだへの負担が小さいことです。肝臓への照射を示したこの画像で色がついている部分が重粒子線の影響を受ける範囲です。赤い部分に集中的に重粒子線が照射され、周りへの影響が少ないことがわかります。


また、X線がききにくいとされる骨や膵臓(すいぞう)のがんにも効果が期待できます。この画期的な治療を可能にしているのが、センターに2台ある重粒子線の照射装置です。