大分市の県道で2021年2月、交差点を右折しようとした車に、対向車線を時速194キロで直進してきた車と衝突。右折車を運転していた当時50歳の男性が死亡しました。あれから3年――裁判に向けた手続きが進む中、遺族が今の思いを語りました。
遺影の前で静かに手を合わせる女性は3年前、弟を亡くした長文恵さんです。「面影というか、姿や声を覚えている。いなくなったことがまだ自分の中で信じられない部分もある」。

2021年2月9日の夜、大分市大在の県道交差点で当時19歳の男が運転する時速194キロの車と、右折しようとしていた小柳憲さん(当時50)の車が衝突。小柳さんが亡くなりました。大分地検は男を当初、最長で懲役20年となる危険運転致死罪ではなく過失運転致死罪で起訴しました。
長さんら遺族は「時速194キロの車の事故が危険運転でないのはおかしい」と訴え、署名活動を行いました。その後、地検は補充捜査などを行い、起訴内容を量刑の重い危険運転致死罪に変更しました。
長文恵さん:
「194キロの事故に遭遇した人なんていないですよね。こんな速度じゃなければあのような悲惨な事故にならなかったと思うし、これは何としてでも“危険運転”に。そうしてあげなければいけないという気持ちがあって今闘っている」

2月9日、遺族は事故が起きた午後11時ごろ、現場を訪れました。大分地方裁判所では現在、裁判員裁判に向けて、争点などを整理する公判前整理手続きが進められています。期日は決まっていませんが、長さんは同じ悲しみが生まれないきっかけになるような裁判を望んでいます。
長文恵さん:
「危険運転致死罪に問うのが困難であったのかも分かりませんけど、高速度の事故の抑止になるような判例になることを願っているので、その気持ちを持ち続けて闘っていきたい」