今年で節目の10年目を迎える西武の高橋光成(27)は、キャンプインを控えた1月下旬、東京・港区の南青山で美髪トリートメントの施術を受けていた。去年は自己最速の158キロをマークするなど、10勝を挙げ、3年連続の2ケタ勝利。順風満帆に見えた1年だったが、高橋はある悩みを抱えていた。「髪を伸ばすと汚いって言われるんですよね…」。
「マイティ・ソーになりたくて」と、マーベル映画のヒーローを目指し、3年間髪を伸ばし続けた。見慣れない野球選手の長髪。球場内外から賛否を呼び、家族や周囲の友人からも「髪を切った方がいい」という声は少なくなかった。
それでも「『こんなプロ野球選手がいるんだ、球場で見てみよう』と思ってくれる人たちが少しでもいれば」と、なりたかった“ヒーロー”を目指し、信念を曲げなかった。今では「髪を伸ばしてから、街を歩いていて声をかけられることが増えました!」と、この長髪に愛着が湧いていると言う。
高橋がトリートメントを始めたのは去年の夏頃。チームメートの源田壮亮(30)に紹介されたのがキッカケだった。今では数か月に一度、サロンでの自分磨きを欠かさない。
「これで帽子被ったらめっちゃ綺麗だろうな」。仕上がりに満足の様子だが「美しいだけではダメです、強さがないと。強くないとダメなので」と言い切った高橋。強く、美しく。野球の方では、2年前からピラティスを取り入れたフォーム改造に着手。目標の“160キロ”へ向け、力を無駄なく伝えるフォームを模索中。「強い」ボールを投げるためには、フォームも「美しく」なければならない。
「今年は個人ではやっぱり30試合投げたいですね。タイトルは必ず獲りにいって。チームとしては優勝、日本一を達成して、笑って終われるようにしたいですね」
自分磨きを極める27歳のエースが、チームを6年ぶりの優勝へと導く。
■髙橋光成(たかはし・こうな)
1997年2月3日生まれ、群馬県出身。190cm、105kg 右投右打
前橋育英高時代は2年の夏にエースとして全国制覇。2014年ドラフト1位で西武に入団。2022年はキャリアハイとなる12勝(8敗)を挙げ防御率2.20をマーク。21年は11勝9敗、23年は10勝8敗と3連続で二ケタ勝利。














