処理水の海洋放出について、福島県としての意見をまとめた3年前の会議の資料を県が初めて明らかにしました。3年前は大部分が黒塗りだった公文書が一転開示されたことで、意見集約の過程が明らかになりました。

福島県は、21年4月に開かれた原子力関係部局長会議の議事録と音声データ、配布資料を開示しました。この会議は、政府が海洋放出の方針を決めた直後、県の意見を取りまとめるため、2日間にわたり開かれたもので、冒頭以外、非公開で行われました。TUFでは3年前に、この会議の資料を情報公開請求しましたが、公開された部分以外はすべて黒塗りでした。

3年前に開示された資料

今回、改めて同じものを請求したところ、すべて開示され、県の意見集約の過程が明らかになりました。

まず、県の基本的なスタンスとして「処理水の課題は『廃炉に向けた取り組み』の一環であり、全責任は東京電力と国が負う」と位置づけています。2年後に海洋放出を控える中での会議でしたが、「正確な情報を広く伝え、発信する視点が欠けている」といった意見が出されました。

内堀知事(当時の音声)「今回の処理水の処分の問題は、漁業者のみなさんはもとより農林水産業、観光業に関わるみなさんにとって重い影響を与えるものであります」

会議は2日間で、35分程度行われましたが、内堀知事の発言は、両日とも、会議の最後以外はありませんでした。

開示した理由について、県は「当時、県内では様々な意見があり、検討の中身を出すのは得策ではないと判断した」とした上で、大きな風評被害やトラブルが確認されていないことから、「総合的に判断した結果、開示することにした」としています。