視覚障害のある人もない人も、同じ場所で笑う。その名も『耳で楽しむ漫才ライブ』そんなコンセプトを掲げるイベントには驚きの仕掛けがあります。
新潟市 西蒲区で開かれるある「漫才ライブ」とは。

新潟市 西蒲区の「巻文化会館」。およそ900席の大ホールで3月、ある「漫才ライブ」が開かれます。

演者は「ナイツ」や「ウエストランド」など実力派の人気漫才師たち。

ですが、このライブには誰も経験したことのない仕掛けがあるのです。
それが…
【齋藤桂 社長】「真っ暗にしてもらっていいですか、芸人さんの気持ちになります」

暗闇の中で行われる、その名も「耳で楽しむ漫才ライブ」です。

会場の下見に訪れたのは、ライブを主催する新潟市西蒲区のイベント会社ホイミの齋藤桂代表。

客席もステージも照明を落とす理由とは…?
【齋藤桂 代表】「視覚障害の人に楽しんでもらいたいから。皆さんの環境で一緒に楽しみませんか?って」
企画したきっかけは齋藤さんの1歳下の弟、真(まこと)さんの存在でした。視覚障害のある真さんがよくラジオを聴いているのを見て、「耳で楽しむ世界」があることに気が付いたといいます。

【ホイミ 齋藤桂 代表】「ナイツさんの漫才を目をつむって聞いても楽しいんですよ。この真っ暗な中で漫才を聞くことが僕らには特殊な環境ですけど、『見えない世界ってこういうことなんだ』というふうに感じてもらうきっかけにも結果的にはなるといいなと」

「見えても、見えなくても」「同じ場所で笑おう。一緒に笑おう」それがこのライブに込めた齋藤さんの思いです。

2時間ほどのうち、前半は通常の照明、後半は真っ暗な中で全6組がそれぞれネタを披露しますが、開催に向けてはまさに“暗中模索”のようで…

【齋藤桂 代表】「この前ナイツさんにお会いしたんですよ、『どうやって(舞台に)出ていけばいいですか?』って言われて『蛍光テープを貼ってそこを頼りに出ていく感じになると思います』と…」

出演者にとっても挑戦的な試みですが、最初に出演を打診したナイツの2人は快く引き受けてくれたそうです。
【ホイミ 齋藤桂 代表】「企画を褒めてもらって、ただやったことがないから『どんな感じなんですかね』って、漫才師のトップの人ですらやったことがないし、芸人としてのやりがいはあるんだろうなと」
会場の真ん中、120席ほどは視覚障害者とその同伴者の招待席としています。

また、当日はトイレに音声案内をつけるほか、会場までの送迎バスを用意するなど、安心して来場できるようにします。

【齋藤桂 代表】「見てる方も楽しんで、やってる芸人さんも新しい挑戦して、それぞれが新しい経験とか、皆が皆winになるといいなと」

喋り一つでお客を笑わせる漫才師とその息遣いまでもが感じられるライブ。暗闇の劇場でいったいどんな笑いが生まれるのか…
ライブは3月16日に開かれます。


※チケットは一般販売がすでに始まっていて、視覚障害者とその同伴者を対象とした招待席は主催するホイミへ電話番号050・3575・2588から申し込みが出来ます。さらに、30日にスタートしたのがクラウドファンディングです。1か月で50万円を目標に資金を募っていて、視覚障害者の招待や送迎バスの運行などのサポートのために使うということです。