能登半島地震から間もなく1か月。日常を取り戻そうと被災者が手を取り合いながら少しずつ前を向き始めています。石川県珠洲市の美容室では、温泉とコラボしてきょうから営業を再開しました

岸田さん「どうする?」
客「ジョリジョリ」
岸田さん「ジョリジョリにする?わたしも緊張するわ、久しぶりやし。仕事納めが去年の30日やったから、30日以来のカット」

石川県珠洲市宝立町で美容室を営んでいた岸田孝子さんは、断水が続く中、29日、溜めた雨水を使って掃除をすすめていました。

北沢美容室 岸田孝子さん
「生き残った美容室のイスを洗っていた」

美容室は倒壊し営業できなくなりましたが、県外に住む美容師の友人から道具を送ってもらい、被災者向けの無料カットサービスを始めることを決意しました。

岸田さん
「じゃん!新品のはさみを送って頂いて、本当にありがたいです。一瞬でも日常というか、みんな本当に普通に暮らしてたんだから、被災者じゃなくて本当にみんな…」

ほぼ全域で断水が続く珠洲市。場所の確保も難しい中、再開にむけて手を差し伸べてくれたのは、近所で温泉施設を経営する男性です。

珠洲温泉宝湯 橋元宗太郎代表
「北沢美容室も地震で潰れちゃって心苦しかったんですけど、シャワーを使えたら営業できると聞いて、うちの客室の土間を使ってもらえたら」

100年以上の歴史がある珠洲温泉宝湯。地震で施設が倒壊してしまいました。しかし…

橋元さん
「がれきの隙間に顔を突っ込んで探してみたらちょろちょろと音が聞こえて、温泉が湧き続けているのを発見した」

崩れたがれきの中をホースで繋ぎ、別館の宿泊施設の浴槽に、湧き出る湯を通しました。

橋元さん
「復旧作業にあたられている人たちやボランティアの方たちにも、北沢美容室に髪を切ってもらって少しでも元気になればいいですよね。髪の毛切ると気分変わりますしね」
「いつも家族、子どもたちと嫁さん切ってもらってる」
岸田さん
「ひさしぶりやから、練習させてもらわんと!(笑)」
「あっくん準備できたよ」

そして迎えた30日。場所を貸してくれた橋元さんの息子・藍十夢くんを一番にカットしました。

橋元藍十夢くん
「ありがとう」
橋元さんの妻・美久さん
「本人も喜んでいると思います」

さらに、小学生から通っているという常連客の女性も噂を聞いてやってきました。

常連客の正司絵里さん
「地震あってからお風呂とかも2日に1回とかでなかなか入れなかったので、髪の毛を短くできたらなと思っていたので本当にうれしいです」
北沢美容室 岸田孝子さん
「畑仕事とかしてたのに、みんな避難所に座ったきりでしゃべることも同じことばっかり言ってるわと聞いていたので、ここにきてお喋りするだけでも気持ち晴れるんじゃないかなと思って」

発災前の生活を少しでも取り戻したい。地域による助け合いが、復興に向けての第一歩となっています。