香港政府のトップ・李家超行政長官らが会見を開き、「国家安全条例」の制定に向けた作業を開始すると発表しました。条例が成立すれば、言論統制が一層厳しくなりそうです。

李家超行政長官らは30日に会見を開き、「国家安全条例」の制定に向け、市民から意見を募る「パブリックコメント」を来月末まで行うことを明らかにしました。

李長官は「2019年の大規模なデモなどによって、多くの人が国家安全の重要性を知りリスクは深刻」などと説明。条例案では、国家主権を脅かす暴動や扇動行為について現行の法律を補完するほか、スパイ行為については、「国家秘密」とは何かについて具体的に定義するということです。

香港の憲法に相当する「香港基本法」には「国家安全条例」を自ら制定すると記されていて、2003年には議会に相当する立法会で草案をもとに議論されましたが、「言論や表現の自由を規制するものだ」と市民らが大規模な抗議活動を行い、条例案は撤回されていました。

香港では現在、中国政府が制定した「香港国家安全維持法」が施行されていますが、条例が成立すれば、言論統制が一層厳しくなりそうです。