これからの季節、心配となるのが災害に伴う停電です。そこで電線を守るために行われるのが木の剪定作業「保安伐採」です。そこから出た伐採木を捨てずに有効活用しようという試みが始まっています。
東京電力では、大雨や台風などの影響で電線への倒木や枝の接触などによる停電を防止するため、独自で定期的巡回や保安のための伐採を行っています。
<東配工 藤井俊之さん>
「電線に当たって傷つくと、また問題になりますので、保護するためにはどうしても2mほど多めに伐採するような形となります」
伐採木は、東京電力管内の静岡県東部では、年間でおよそ4000トンにもおよびます。これまでは産業廃棄物として処理されてきました。
そこで導入したのが「チッピングロータリープレス車」です。伐採木を細かく砕きウッドチップにする事で再利用する方法を模索してきました。細かく砕かれた生木は、熱を持った車の中で発酵が始まり、腐葉土になっていきます。
<東配工 森崇彦さん>
「3日くらいで結構発酵しちゃう形になります。良い肥料になっていると思います」
静岡県河津町では、ウッドチップでできた腐葉土を「ブルーベリーの里」で受け入れています。園では、ブルーベリーの木の下にチップを撒いて雑草を防いだり、肥料として使っています。
<河津ブルーベリーの里 山田勇代表>
Q撒かないとどうなる?
「このように草が生えてきてしまって、この草はもっと大きくなりますので大変なんです。草が生えてくるのを抑えられるし、化学肥料を少なくできる、経費の節減にもなるし、土のためにも良いし、環境にも良い非常に助かっています」
ウッドチップを撒くことで、土に日光が直接当たらず、雑草を抑制する効果が確認されました。ブルーベリー園での効果に町ではその先を考えています。
<河津町役場 産業振興課 稲葉健太主事>
「河津町としては、河津桜の保護育成を担う団体が月に1回程度、河津桜の剪定作業を行っていて、今後はその作業で発生した伐採木も活用して企業と協力しながらSDGsを進めていきたいと思っています」
<東京電力パワーグリッド静岡総支社 大川和也マネージャー>
「企業としてもこういった再利用、サーキュレーエコノミー(循環型経済)のように廃棄ではなく、どんどん再利用していくということはすごく重要かと考えます」
防災・減災のために、出たゴミをただ捨てるのではなく、活用方法を見つけ、資源として使う防災とSDGsを両立する取り組みが伊豆半島で行われています。
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