居酒屋やパン屋、大浴場も当時の姿のまま 古代都市ポンペイ

世界遺産には街全体が遺跡となったものがいくつもあります。
最も有名なのがイタリアのポンペイ。2000年前のヴェスビオ山の大噴火で、火山灰に埋もれた古代ローマの都市です。

街並みはもちろん、居酒屋やパン屋、大浴場も当時の姿のまま残り、ローマ人の暮らしぶりを生々しく伝えています。このポンペイはナポリ湾に面した港湾都市でしたが、もっと驚くような場所に作られた世界遺産の都市遺跡をご紹介しましょう。
「天空の城ラピュタ」を彷彿 難攻不落 天空の城塞都市 ミストラ遺跡

まずはギリシャのミストラ。なんと、ひとつの山をまるごと都市化したものです。約700年前、ビザンティン帝国(東ローマ帝国)によって築かれ、最盛期には4万人が暮らしたといいます。山の斜面に沿ってさまざまな遺跡が残っているのですが、面白いのは全体の構造。麓に近いところは「下の街」といい、主に庶民が暮らしました。

中腹の「上の街」には貴族たちが住み、さらに上の山頂には巨大な城が築かれています。当時はオスマン帝国などのイスラム勢力とせめぎ合っていたため、街全体も城壁で囲み、敵の攻撃に耐えられる堅固な城塞都市としたのです。

この山に築かれた天空都市を番組「世界遺産」でも撮影したのですが、草木に埋もれた石造りの廃墟が点々として、ジブリの「天空の城ラピュタ」を彷彿とさせる所でした。

特に中世の教会や修道院がよく保存されていて、ルネサンスの先駆けといわれる貴重なフレスコ画も残っています。「ラザロの復活」という絵で、キリストによって死者が復活するシーンを描いたもの。遺体の脇で、鼻をつまんで死臭に耐えている人物がいて、それまでの宗教画にはなかった「人間くさい」様子がルネサンス的とされています。

びっくりしたのは、廃墟と化したミストラ遺跡に今も人が住んでいたこと。5人の修道女がなぜかネコの大群と暮らしていたのです。その祈りの日々がどんなものなのかは、放送でごらんください。