南シナ海で領有権をめぐり中国と対立を深めるフィリピンの沿岸警備隊は、岩礁付近で操業中だったフィリピン人漁師が中国海警局から妨害され、追い払われたと発表しました。

フィリピン沿岸警備隊の報道官は21日、「岩礁付近で貝を採っていたフィリピン人漁師が中国海警局から嫌がらせを受けた」と明らかにしました。

現地のSNSに投稿された映像には、オレンジの救命胴衣を着た数人が浅瀬に入り、このうち1人はフィリピンの漁師が乗った船をつかんでいるように見えます。

また、すぐ近くを航行するボートの船体をみると、中国海警局のものとみられる表記も確認できます。

フィリピン沿岸警備隊によりますと、この映像は南シナ海のスカボロー礁付近で12日に撮影されたもので、フィリピンの漁師たちが中国海警局から妨害され、追い払われたということです。

スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域内にありますが、2012年から中国が実効支配を続けています。

また、国際仲裁裁判所は8年前、中国がスカボロー礁で「フィリピン漁民の伝統的な漁業権を侵害している」と認定しましたが、中国はこの判決を拒否しており、対立が深まっています。