能登半島地震の被災地では、トイレの問題が深刻になっています。この問題が健康に及ぼす影響は深刻です。

トイレを我慢すると体に様々な影響を及ぼしてしまいます。災害派遣医療チーム=DMATの一員として、被災地で医療支援を行っている名古屋大学病院の山本尚範医師に取材しました。

まず「水分を取らない」と脱水症状になってしまいます。これは「災害高血圧」というそうですが、血圧が上がることによって、心筋梗塞や脳卒中の恐れが出てきます。

そして、脱水症状のまま例えば車の中でじっとしていると、エコノミークラス症候群になって血栓ができる。そして血管を詰まらせて血液の流れが悪くなり、肺塞栓などになると。これも死に至る可能性があるわけです。

そして排尿を我慢すると、膀胱炎・尿路結石に。
排便を我慢してしまうと便秘になり、腸内環境が悪くなって免疫力が低下します。そうなると、感染症やインフルエンザ・コロナなど万病の元にもなってしまうんです。

こうした問題に対処するため、災害用のトイレカーが被災地に入っています。

NEXCOでは、輪島市に6台、志賀町に10台、そして中能登町に4台、合わせて20台のトイレカーを被災地に派遣しました。

こちらのトイレカーにはどんなメリットがあるのか。たとえばエンジンがかかっていれば充電ができたり、また下水と直接繋いでし尿を処理できたりするメリットがあります。

大変機能的ではありますが、台数に限りがあります。一方で、仮設トイレの設置には時間がかかるケースも多いんです。

東日本大震災の時は、1週間以内に仮設トイレが設置された避難所は半数ほどで、
1か月以上かかった避難所もありました。では家庭での災害時用トイレが備蓄できているのか。アンケート調査を見てみると、年々増えてはいるというもののまだ備蓄している家庭は2割程度にとどまっているそうです。

ぜひ家庭での備蓄用のトイレを考えていただきたいんですが、仮設トイレの設置や水道の復旧まで時間がかかると「備蓄したものが持つのか」という問題もあります。