血圧が上がる寒い時期は要注意、いったん破裂すると救命は困難

それでは、すでに自分に「こぶ」があるかはどのように調べればいいのでしょうか。「大動脈瘤は胸部だけでなく、腹部にも発生する可能性があるので、胸部・腹部CTを撮影すれば簡単に判明します。大動脈瘤が見つかった場合、定期的に撮影を続け、サイズが増大していないかチェック、45ミリを超えたら破裂を未然に防ぐ手術を検討します」。

松田医師によると、手術には「こぶ」を人工血管に取り替える「人工血管置換術」と、細い管を足の付け根の血管から挿入し、「こぶ」の場所で細い筒を広げ、血液がその筒の中を流れるようにする「ステントグラフト内挿術」があり、最近は体への負担が少ないステントが選ばれることが多いとのことです。

それでは「こぶ」が破裂するとどうなるのでしょうか。「こぶの破裂は突然起こります。胸部なら突然の背中の激痛、腹部なら腰痛が起こります。突然の痛みにみまわれ、動脈瘤破裂を疑った場合は、救急搬送するしかありません。病院では基本的には開腹、あるいは開胸しての緊急手術となりますが、仮に手術ができたとしても救命できるのは50%くらいのようです。

手術の前に亡くなられる方が多く、救命は発症後から病院にたどり着くまで、まさに時間との勝負。しかし残念ながら破裂例全体としては9割が死亡するとの調査もあります」と松田医師は厳しい現実を語ります。「いつでも起きる病気ですが、特に気温の低い冬は血圧が高めになるので、体調の変化には特に注意が必要です」

破裂したらできるだけ短時間で病院に