9日、岩手県北上市の大型ショッピングセンターに子グマ1頭が入り込む騒ぎがありました。なぜこの時期に冬眠していないクマがいるのでしょうか。専門家に聞きました。
9日午後2時すぎ、北上市北鬼柳の「江釣子ショッピングセンター パル」の店内に設置された防犯カメラの映像。風除室の中を走り回る子グマの姿が映っていました。
すぐに店員らが子グマを追い込み、警察や猟友会も出て午後4時すぎに捕獲、その後山に放されました。
一般的にクマが冬眠するとされる時期になぜ、しかも街中に出没したのでしょうか。野生動物の生態が専門の岩手大学農学部・山内貴義准教授に聞きました。
(岩手大学農学部 山内貴義 准教授)
「(クマは100%冬眠する生き物なんですか?)基本的には冬眠します。(今回のクマは?)冬眠していないと思う。おなかが満たせなくて冬眠できなかったというエサ条件」
東北森林管理局によりますと、去年、クマの主な食料となるブナの実は大凶作でした。そのため十分な蓄えができず、冬眠しない個体が複数いるのではないかと山内准教授は分析します。
またエサ不足のほかにも、クマが冬眠しない要因があるといいます。
(山内 准教授)
「雪が少ないことや暖冬が重なり、今の時期になってもかなり小さい個体がいる。山から押し出された個体が出てきていると考察している。温暖化で暖冬が進むと冬眠期間が短くなるという報告もある。今シーズンのクマの動きはかなり異常な状態。こういう年もあるということを、岩手に住んでいる限り念頭に置かなければならない」
岩手県内では今年度、過去最悪のペースでクマによる人身被害が発生していますが、引き続き冬眠していないクマへの警戒が必要です。