日本の仏教におけるスーパースターといえば、やはり弘法大師空海ではないでしょうか。中国に留学してわずか2年で密教を会得した天才さ。杖で大地を突くと泉が湧いたなどの伝説の多さ。さらに「弘法も筆の誤り」などのことわざで知られる知名度…とにかく飛び抜けた存在です。
さらに神出鬼没というか、「こんなところにまで」と思う場所にもその足跡が残っています。番組の新春特別企画として、日本各地の聖地の四季折々の姿を1年がかりで撮影したのですが、やはり多くに空海とのゆかりがありました。
夏の宮島 伝説に彩られた弘法大師空海の足跡

まずは世界遺産「嚴島神社」がある広島県の宮島。古来「神の島」といわれてきたところで、海に建つ大鳥居が有名です。番組では夏に撮影したのですが、3年半がかりの修復工事を終えた赤い鳥居は、夏の青空とのコントラストが本当に鮮やかでした。
嚴島神社自体は現在のような形になったのが12世紀なので、8~9世紀に生きた空海とは時代が違います。しかし神社の背後にそびえる弥山(みせん)も構成資産の一つとして世界遺産になっていて、ここに空海の残したものがありました。

弥山は古くから聖なる山とされ、空海もその姿に感じ入り、寺を開いたといいます。それが宮島最古の寺、大聖院です。

番組でも撮影したのですが、山頂近くにある霊火堂には、空海が点したという「きえずの火」が残っています。文字通り1200年前から消えずに守られてきたという霊火で、これで大茶釜の湯を沸かしていて、飲むと万病に効くと伝わります。こうした伝説に彩られているところが、いかにも弘法大師空海という感じです。