生成AIはジャーナリズムの脅威かチャンスか

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)でAI研究プロジェクトに携わる、チャーリー・ベケット教授が講演に登壇した。

ベケット教授は報道機関が人工知能を責任を持って使用できるようにする世界的な取り組み「JournalismAI」の第一人者だ。彼が考える「AI×メディア」とは…

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチャーリー・ベケット教授

「多くの報道機関は生成AIを使うことによってジャーナリズムの価値観を守ることができるのか、そして情報の透明性など、さまざまなリスクについて懸念している。生成AIはここ数か月で突然現れ、その爆発的な開発スピードに圧倒されてしまっている現状もある。しかしながら将来的に誰もがAIを使用していくことになる」とベケット教授は話す。

そして、その上で「AIを上手く使うことが適切なジャーナリズムに費やす時間とリソースの節約に繫げることが大切だ」と訴えた。

AIができることをAIに任せることで、業務の生産性を向上させ、短縮できた時間で、人間にしかできない、よりクリエイティブな取材などをするべきだということだ。

では、AIとうまく付き合っていくためにはどうするべきなのか?

チャーリー・ベケット教授
「まずはAIについて知り、AIリテラシーを広げる必要がある。それはAIを使用する方法、AIに何ができて何ができないかを正しく理解するということである。」

まず、1人1人がAIに向き合うこと。そしてAIリテラシーを身に着け、AIを適切に活用できる能力を養うことが、あらゆる側面で新たなチャンスを生むかもしれない。

UAEが主催するGlobal Media Congressは来年も開催される予定だ。

今年はCOP28の開催国にもなり、気候変動の取り組みを加速させて国際社会と強調していくことを強くアピールしていたが、変革の時を迎えているメディアテクノロジーの分野においてもUAEが世界をリードしていきたいという意気込みを感じるものだった。

筆者:TBSテレビ「Nスタ」・犬飼さき TBSテレビ経済部・出野陽佳