突然、里帆さんが…睡眠薬を飲み意識が朦朧
そして一昨年、19歳年上の佳樹さんと出会う。佳樹さんは里帆さんの過去を、すべてを受け入れてくれた。
夫・佳樹さん
「つらかっただろうなと。本気で力を全力で貸してくれる人は少ないし、同情は得られたとしても『巻き込まないでね』ていうことが一般的な人の価値観だと思うし、本当に居場所がないんだろうなと。一も二もなく『助けるよ、俺が力になるよ』って」
こうして交際が開始。それでも、里帆さんが不安定になることも少なくなかったという。2022年11月、突然、里帆さんが“自殺”を図ったのだ。
佳樹さん
「ここで寝ていたようですね。トイレで(睡眠)薬を飲んで、そのあと意識が朦朧としてここに寝転がって」
PTSDのほか、うつ病、睡眠障害など様々な症状を抱えている。ほぼ毎日を自宅で過ごし、円滑な社会生活を送ることは今もできていない。
働けない…“甘え”なのか? 虐待による“トラウマ”なのか?
この日、2人はある人のもとへ相談に訪れた。
けいこさん
「座ってください」
近親者による性的虐待被害者らの自助グループの代表・けいこさん。実の兄と父親から性的虐待を受けてきたという。
里帆さん
「実際に、私が働けてなくて、かつ家事もままならないときが最近多くて。そういうことって“甘え”なのかな?とか。どこからが虐待を受けたことによるトラウマなのか、自分の要因なのか」
けいこさん
「私もずっとそれは悩んでいて、どこからが境界線なのかわからなくて。“決意”というか、自分でそれは区切りをつけないといけない。自立するというのは目標かもしれないけど、1人だけで生きていくというのは難しいから、頼るところとか、拠り所をたくさん作っていくことが、やっぱり心の支えになるんじゃないのかな」
前を向いて進むためには、過去を断ち切る必要がある。そのために里帆さんはある決断をした。父親に罪を認めてもらい、償ってもらうことだ。