お酒を飲む機会が増えるこの時期、ダメージを受けやすいのが「肝臓」。
酔いやすいお酒の種類は?飲んた後に食べると良いものは?
お酒にまつわる気になる疑問を、日本肝臓学会の肝臓専門医、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞きます。
肝臓って、なにをしているところ?

肝臓は人体の中で最も大きな臓器で、重さは1〜1.5㎏。体重の約50分の1の重さを占めます。約500もの働きがあり、大きく分けると3つ。
◆消化管から入ってきた異物から身を守る【免疫機能】
◆体に入った有害物質を無毒化するフィルターの働き【解毒機能】
◆入ってきた栄養素を使える形にする【代謝機能】
「人体の化学工場」とも呼ばれます。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
肝臓が弱ると免疫機能も弱まるので、感染症にも気をつけなければいけないこの時期、特に注意が必要です。
【疑問1】「飲む前に牛乳」は正しい?
まず、お腹をすかせてのお酒はNGです。
胃が空の状態でアルコールを摂取すると、胃の粘膜が傷つきやすくなり消化に悪影響があります。また、胃や小腸で急速にアルコールが吸収されることで酔いが早くなります。
飲む前には、軽く食べ物・飲み物を取ることが大事。

チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品は、胃に膜を張りアルコールのダメージを中和してくれるのでおすすめです。
伊藤院長:
厳密に膜がどれくらい張るかは定かではありません。ただ、吸収をゆっくりにするということは確かだと思います。
飲む30分位前に摂っていただくと良いと思います。
また、酒を飲む前や最中に「水を一杯飲む」くせをつけるのも効果的。
伊藤院長:
アルコールの血中濃度を急速に高くしないために水で薄めるという意味もありますし、飲酒後必ず脱水になってきますから、それを補うという意味でも水分摂取を一緒に行う。
お酒1杯に対して水1杯くらい、チェイサーとして飲んでください。
また、「ウコン」や「肝臓水解物」について、伊藤院長は過剰な期待は禁物だと言います。
伊藤院長:
ウコンや肝臓水解物には、確かに解毒作用を促す成分が入っていますが、人でのエビデンスが充分ではないんですよね。ですから過信しないことが大事です。
例えば2本3本そういうものを飲んだら、2倍3倍飲んでいいというわけではありません。