原発再稼働に関する議論が2年8か月ぶりに再び動き出すことになりそうです。原子力規制委員会は20日、東京電力 柏崎刈羽原発に出している事実上の運転禁止命令について、27日に解除する方針を決めました。
20日開かれた原子力規制委員会。東電の小早川智明 社長が出席し、これまで行ってきたテロ対策の改善状況について、自身の受け止めを説明しました。
【東京電力 小早川智明 社長】
「技術力、それから安全意識、対話力などについて不足があったのではないかということで、『しくみ』を様々な検討をして現場からの発案も含めてつくったが、それに本当に“魂”がこもっていたのかというのが一番の私のこの数年間の取り組みの大きな課題認識だった」

柏崎刈羽原発をめぐっては、IDカードの不正使用や侵入検知設備の故障など、テロ対策の不備が相次いで発覚。

規制委が21年、事実上の運転禁止命令を出して現地調査に入るなど、これまでのべ4268時間をかけて東電の再発防止策をチェックしてきました。

【原子力規制委員会 伴信彦 委員】
「今回仮に核燃料の移動禁止命令解除になったとしても、それは東京電力が生まれ変わったとか、非の打ちどころもない組織になったとか、そういう認定をしているわけではない。合格ラインギリギリのところ」

【東京電力 小早川智明 社長】
「まずスタートラインに戻ったということで、これからこの改善をどう持続し、パフォーマンスをどう維持向上していくかということが我々の務め」

規制委員会では今後について釘を刺したうえで…
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「核物質防護については私自身は、東京電力が自律的な改善ができる状態であると考えている」

山中伸介委員長は東電の現状を評価した上で、事務局の規制庁に対して事実上の運転禁止命令である“核燃料移動・装填”の解除に向けた資料の作成をするよう指示。
原発を扱う事業者としての東京電力の「適格性」についても再確認できたとしています。

【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「東京電力自身の自社の弱み、コミュニケーション力のなさや、現場の実行力のなさを挙げてもらった上で、核物質防護と安全について継続的な改善についての積極的な取り組みをしていきたいと述べられていた」
規制委は事実上の運転禁止命令の解除について27日に正式決定する見通しです。