自民党の派閥パーティーをめぐる政治資金の問題を受け、岸田内閣が新体制で始動しました。
けさ、総理官邸には安倍派の3人の閣僚、そして自民党の萩生田政調会長が次々と姿を見せ、岸田総理に辞表を提出しました。
辞表を提出 萩生田光一 自民党政調会長
「政治不信を招くことになった責任を感じて、今、辞表を提出してまいりました」
松野博一 前官房長官
「(岸田内閣の2年間で)様々な取り組みを前に進めてきたと考えています。こうした政権としての取り組みは国民のご理解・ご協力があってこそであります。感謝を申し上げたいと思います」
辞任にあたり、国民への感謝の言葉を述べた松野官房長官ですが、安倍派の政治資金をめぐる疑惑については「派閥を代表する立場になく、答えは差し控える」と最後まで繰り返しました。
一方、松野官房長官の後任に就任したのは林前外務大臣です。
林芳正 新官房長官
「まさに青天の霹靂という言葉がふさわしいと思っていますが、持てる力をしっかり発揮するように誠心誠意、努力をしていきたい」
坂本哲志 新農水大臣
「坂本です。これからすぐですね、はい」
農水大臣には坂本元地方創生担当大臣が、総務大臣には松本前総務大臣が、経産大臣には齋藤前法務大臣がそれぞれ任命されました。
今回の人事をめぐっては、官房長官候補に挙がっていた複数の人物が水面下で打診を断ったことが分かっています。
最終的に林氏が選ばれましたが、岸田総理は来年の総裁選をにらみ、今年9月に岸田派ナンバー2の林氏を外務大臣から外して派閥の立て直しを委ねたばかりでした。
岸田派議員
「来年9月の総裁選のことなど、まったく視野に入っていない人事だ。それだけ追い込まれているのだろう」
岸田総理
「火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいります」
国民の信頼回復に向けてきのう、こう訴えた岸田総理ですが、火の玉となるのか、火だるまになるのか。崖っぷちの政権運営は続きます。
辞表を提出 西村康稔 前経済産業大臣
「道半ばで大変残念な思いです」
西村前経済産業大臣にも、「政治とカネ」をめぐる“新たな疑惑”が。
きょう発売の週刊文春で、西村氏が開いた政治資金パーティーは経産省の職員10人足らずが出席しただけの“架空”だったと報じました。
JNNが入手したパーティの案内状。「西村やすとし茶話会」と銘打たれ、日時は今月8日の12時から。会費は2万円。
疑惑に対し、西村氏は…
辞表を提出 西村康稔 前経済産業大臣
「政治資金パーティーは法令に則って開催してきている。実際に講師を招いて開催したので、実態はあります」
「実際に講師を招いて開催しており、実態はある」と説明しました。
一方、けさ、都内の議員宿舎。沈痛な面持ちで現れたのは、自民党・安倍派の堀井学前内閣府副大臣です。
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「国民の皆様が疑念を持たれている以上、続けることできないと覚悟は決めていた」
「覚悟」とは副大臣の辞任。内閣府に向かい、辞表を提出しました。
堀井氏は北海道9区選出で2012年に初当選し、今年9月に内閣府副大臣に任命されていましたが、わずか3か月での辞任。辞表を提出した直後に、JNNに心境を語りました。
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「国家国民のために力を尽くして参りたかったというのが正直な思い。無念でならない」
自身へのキックバックはあったのでしょうか。
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「(Q.堀さんの事務所はキックバックはあった?)残念ながら、1000万円以上のキックバックを受け取っていたという事実が私にも判明した。(過去5年間で)1200万円という数字になってくる」
キックバックの仕組みはこうです。各議員には、1枚2万円するパーティ券の販売ノルマが割り当てられていて、販売ノルマを超えた差額分が派閥側から還流=キックバックされ、議員側に入るというもの。安倍派では派閥側・議員側ともに記載されず、過去5年で総額5億円がキックバックされ、裏金となっていた疑いがあります。
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「派閥から連絡が来て、金を取りに行く者がいて、それを私の選挙区である北海道に届ける人間がいた。現金で受け渡しされていた」
1200万円もの大金は振り込みではなく、全て「現金」での手渡しだったといいます。その使い道は…
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「政治資金収支報告書に記載できない経費に補填されていたのではないか。事務所の全体の飲食であるとか、秘書の経費であるとか、年間のランニングコストであるとか」
堀井氏の場合、キックバックは秘書が受け取り、管理していたといいますが、当時秘書だった1人は事務所の資金を横領した罪で有罪判決が確定し、この秘書の前にキックバックを管理していた別の秘書も事務所との金銭トラブルで辞め、連絡が取れないといいます。
安倍派 堀井学前内閣府副大臣
「事務所の運営を楽にしようと思ったために、こういう制度、こういう習わしに従ってしまった甘えがあった」
堀井氏は「捜査に全面的に協力する」としています。
自民党の派閥の「裏金」問題、閣僚4人の交代に及びました。その捜査はどうなっていくのか?安倍派の事務所前から最新情報です。
東京・千代田区にある安倍派の事務所前です。
臨時国会が閉幕したきのうから、関係者の動静を取材する多くの報道陣が集まっています。
東京地検特捜部は、近く、強制捜査に乗り出すものとみられます。
特捜部はすでに、安倍派に所属する議員の秘書などに任意での事情聴取を進めていますが、関係者によりますと、秘書などの一部が特捜部に対し、「派閥の指示で報告書に記載しなかった」と説明しているということです。
Q.今後の捜査はどうなるのでしょうか?
聴取を受けた議員側は、特捜部から政治資金収支報告書の原本や口座の通帳などの資料の提出を求められていて、特捜部は、任意で提出を受けた資料の分析を進めているものとみられています。
現職の安倍派の議員は、キックバックで得た収入を政治資金収支報告書に記載しない手法について、「派閥の指示があった」と証言しています。
特捜部は、こうした状況を踏まえ、議員本人への聴取を検討するとともに、近く派閥事務所への強制捜査に乗り出すものとみられます。
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