番組「世界遺産」では、年末に「すべて見せます!ベストショット」という特別企画を放送しています。その年に取り上げた世界遺産の絶景のすべてをまとめた、いわば映像の総括で、今年も「ベストショット2023」を放送します。一方、世界遺産を巡るさまざまなニュースもあったので、今回は「2023年の世界遺産的ニュース」の総括をしてみたいと思います。あくまでも番組独自の視点で選んだもので、1~3位のランキング形式です。

第3位「4年ぶりの世界遺産委員会の復活」

世界遺産委員会の会場があるアル・ファイサリア・タワー

まず第3位は、「4年ぶりの世界遺産委員会の復活」です。ユネスコの世界遺産委員会は、世界遺産にとって最も大事な国際会議です。新しい世界遺産を決めるのも、すでに世界遺産になっているものの保全状況をチェックし、場合によっては危機に瀕している世界遺産として「危機遺産」に指定するのもこの会議。開催される場所は毎年変わるのですが、年に一回、世界遺産のある都市で開かれるのが通例です。

しかし、ここ数年はまともな形で開催されてきませんでした。2020年の会議はコロナ禍のため延期。2021年は中国・福州が開催都市でしたが、やはりコロナ対策のためオンラインで行われました。2022年はロシアのカザンで開催される予定でしたが、ウクライナに侵攻したロシアでの開催に反対する国が多く、またまた延期。結局、ロシアが辞退し、今年9月にサウジアラビアの首都リヤドで開かれました。実に4年ぶりの、正常な形で行われた世界遺産委員会です。

議場となったプリンス・スルタン・グランド・ホール

この会議では世界遺産に関する最新の情報を得ることができるので、番組スタッフもリヤドに行き傍聴しました。会場になったのはサウジアラビア最初の超高層ビル、アル・ファイサリア・タワー。世界遺産委員会は21カ国の委員国によって構成されますが、新しい世界遺産にノミネートしている国など他国の政府団も参加するので、1000人を超える規模の国際会議となります。スーツ姿だけでなく、各国の民族衣装を着た人も大きな議場にひしめき、グローバル感たっぷり。「これだけ多くの人が集まるのは、、コロナ禍の間は難しかっただろうな」と実感した次第です。