大阪のモノレールで、高知の食や文化が体験できるイベントが開かれました。2025年の大阪・関西万博との連携を視野に入れた県の経済政策=「関西戦略」の一環です。福井健人記者の報告です。

(福井健人 記者)
「1970年に開かれた大阪万博の開催跡地・万博記念公園です。今も残る『太陽の塔』が、どこか当時の空気感を伝えているかのように感じます。」

在阪のよさこいチームによる総踊り

「隣接した駅の構内では、在阪のよさこいチームによる総踊りが繰り広げられています。これは2025年の大阪・関西万博で、よさこい鳴子踊りを披露したいと大阪府にトップセールスを繰り返している高知県の思いの表れです。」「ステージ周辺には、高知市をはじめとする県内の市町村の観光ブースが軒を連ねていまして、構内全体が、高知家の色に染まっています。」

県は、2025年の万博で賑わいが期待される関西を舞台に、観光の推進や外商の拡大に向けた「関西戦略」を進めています。

今年度は、百貨店で複数の物産フェアを開いたほか、関西で親しまれている県出身のタレント円広志(まどか・ひろし)さんによるプロモーションをスタートさせました。

来年度には、大阪初のアンテナショップをオープンさせることから、“高知の売り込み”に力を入れています。

2日には、万博のイメージカラーでラッピングされた大阪のモノレールで、高知の食や文化を体験できる一日限定の観光列車がお目見えしました。

「出発進行~!カンパーイ!」

これは、万博記念公園と伊丹空港をつなぐルートを移動しながら、カツオのたたきや土佐酒を味わったりよさこい鳴子踊りを見物したりするイベントです。

(乗客)
「大阪にいながら高知を堪能できて、高知からきている人もいるし…」
「高知に行かれたことあります?」
「ないんです」
「もう、ぜひ行ってほしい!まじで楽しい!私(高知は)第二のふるさとみたいな感じ」

用意された一般席は完売。

関西の流通に携わるバイヤーもあわせたおよそ130人が、1時間半の“おきゃく”の旅を楽しみました。

(福井記者リポート)
「『万博を絡めたモノレールでのPRはどうか』。イベント開催のきっかけは、県が包括協定を結んでいる大阪観光局からの呼びかけでした。これに対し、県は、『観光の推進』と『外商の拡大』『万博・IRとの連携』という関西戦略の3本柱を一気に推し進めることのできる絶好の機会になると、とらえたわけです。この戦略の向こう側に見据えている最重要課題が、関西エリアでの、高知の認知度の向上です」

県は、「高知家」について、関西での認知度調査を行っています。2020年度は、16.8%だったことを踏まえ、2022年度の目標を30%に設定。ところが、結果は22.3%にとどまりました。

県は、関西戦略の成果を挙げるためには、「一層の認知度の向上が必要不可欠だ」ととらえていて、取り組みがどれだけ功を奏したのか、それをはかるひとつの指標として今年度も調査を実施する方針です。

(乗客)
「高知は行ったことがないが、このイベントに参加して『いってみたい』と思った」

(バイヤー)
「高知県には美味しいものもある。もう一個は、高知県民の県民性が良い。高知県のイメージがカツオだけじゃないというものを作った方が良い。それが、これからもっといろんな都道府県から(観光客が)高知県に足を運んで楽しめること」

(県 大阪事務所 岡田忠明 所長)
「『これを機会に高知に行ってみたい』という方が、すごく多かった。あんなにたくさんいるとは思わなかった。私は人と人とのつながりを大事にしていきたい。そういった“つながり”が広がることによって、よりパイプの太い高知と関西の交流が広がるのではないか」

テレビドラマに加えて、プロ野球では、縁のある阪神、オリックスが優勝。

今年は、高知にとって「様々な追い風が吹いた一年」と言われました。

要となるアンテナショップのオープンが来年に控えていることを受け、県は、関西と高知をつなぐ“ぬくもりのある取り組み”に、さらに力を入れていく考えを示していました。