強さの秘けつは、選手の“しゃべり”にあった!?
三重県の「私立 四日市メリノール学院中学校」女子バスケットボール部は、創部6年で4度の全国制覇を成し遂げた注目の強豪校(※2023年11月放送時)。
強さの秘密は、「愛コーチのもとでバスケがしたい」と子どもたちから慕われる、稲垣愛監督にあります。創部からチームを率いる監督の指導法に迫りました。

バスケ部は県外からの入部希望者も多く、現在の部員数は国内トップクラスの62人(※2023年11月放送時)。
練習は週に6日、平日は3時間ほど練習を行っています。そのうち実戦練習は月に一度のみ。大半は基礎練習に費やし、徹底して基本を磨いているそうです。

指導にあたり、稲垣監督が大切にしているのは“自分で考えて行動する力”です。例えば、練習中に気になったことがあれば「1分しゃべる」と声をかけてプレイを止め、選手同士で話し合って考える時間を設けることも。
その際、稲垣監督自身は口を出さずに見守ります。生徒も「自分が気付いていないことをアドバイスされ、次に意識する。プレー全体の息が合うようになる」と効果を実感しているようです。

ほかに、“走る力がついた”、“リバウンドが強くなった”といった、一人一人の良い点・悪い点を書き出して配布する試みも行っています。「漠然とやると、成長するものも成長しないので、課題を持ってきちんと取り組むきっかけになれば」という考えから続けているそうです。
自宅で生徒11名と寝食をともに…情熱の原点は?
日中は学校で生徒指導教諭として勤務している稲垣監督。
実は、自宅に県外から入学した生徒を下宿させ、世話もしています。その数は現在11名(※2023年11月放送時)。人数の増加に伴い、自宅の隣家を購入して2軒に住まわせているそうです。

下宿生活では、小松菜・ひじきなど成長期の栄養に配慮した食事や弁当を考えたり、休日には買い出しに連れ出したりするなど、練習以外でも生徒を大きく支えています。
公私にわたって子どもたちに尽くす稲垣監督。情熱の原点は、現在の学校へ異動する際、それまでコーチを務めた公立中学の部員21人のうち20人が転校を決断してついてきてくれたことにあります。

以来、「思春期の大事な3年間。私とバスケットしたいって、たった12歳で決めるってすごいこと。絶対に裏切っちゃいかん。幸せにしてあげなきゃいけないな」と自身も強い覚悟を持って思いにこたえてきました。
「こんなことができるようになったんだと思うと、こっちの方がワクワクしちゃって楽しくなりました」と、中学バスケの醍醐味について語る稲垣監督。

成長の喜びを糧として、今日も全力で子どもたちの指導にあたっています。