■あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会(29日・甲子園)
2020年、新型コロナウイルス感染拡大で戦後初めて中止になった全国高等学校野球選手権。当時、出場できず涙を吞んだ高校球児たちを対象にした「あの夏を取り戻せ」全国元高校球児野球大会が、阪神甲子園球場(兵庫県)で開幕した。
「ケジメをつけるそんな何かをやりたい」
「甲子園が無かったことを言い訳にして、何年も前に進めないんじゃないか。だったら、ケジメをつけるそんな何かをやりたい」と開会式で挨拶したのは、発起人の大武優斗(おおたけ・ゆうと、武蔵野大学3年)さん。 大会アンバサダーの1人、前阪神監督の矢野燿大(やの・あきひろ、54)さんは「この仲間と野球ができること。そして、この甲子園球場の土の感触、芝の匂い、そしてグラウンドから見るスタンドの景色。思う存分味わって、楽しんでいってください」と参加者へメッセージを送った。
午前中は、全チームを対象に5分間ずつのシートノックが行われ、高校野球の聖地・甲子園の感触をそれぞれ味わった。午後からは“佐久長聖(長野)OB 対 松山聖陵(愛媛)OB”“関大北陽(大阪)OB 対 倉吉東(鳥取)OB”の2試合が行われ、母校のユニホームに身を包み選手たちはプレーした。
選手宣誓「一投一打に思いをこめて」
大会は全国から45校42チーム。当時高校3年生だった球児、約700人が参加し、12月1日までの3日間行われる。
選手宣誓は、静岡・聖隷(せいれい)クリストファー高校野球部OBの大橋琉也(おおはし・りゅうや)さんが行った。以下、全文。
宣誓。2020年5月20日、戦後初めて甲子園大会が中止となった日のことを、私たちは忘れません。私たち球児にとって、高校生活の全てと言われるほどの大きな目標を失い、ある者は野球を続け、ある者は野球から離れ、3年の時が経ちました。過去の全てを取り戻せないことを、私たちは知っています。それでも、未来に終止符を打ち、これからも続いていく、それぞれの人生に向き合うために、私たちはこの夏にこだわりきります。そして、新型コロナウィルスによって様々な苦しみを受けたこの世代、また世界の人々の力になれるよう、一投一打に思いをこめて、正々堂々と戦い抜くことを誓います。
【29日の試合結果】
佐久長聖(長野)1-1 松山聖陵(愛媛)
倉吉東(鳥取)1-1 関大北陽(大阪)
※70分制の特別試合形式














