人気の投資信託は好みの問題。話題のインドはリスクを考慮して
――2024年の1月から新NISA制度がスタートしますので、具体的に何を買えばいいのか伺っていきます。まずは新NISAの制度について簡単におさらいしていきます。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、株式や投資信託を非課税で投資できる期間が無期限になり、投資できる限度額が1800万円に拡大する。
――投資対象商品が本当にたくさんあって、初めてNISAを始める方にとっては何を選べばいいのかわからないと思いますので、いくつか教えていただけますか。
ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏:
今日は一般的な人気の投資信託を紹介したいと思います。

有名なところで言うと「全世界株式」。世界中の株式に分散投資するオールカントリー、略してオルカンと言われます。アメリカの「S&P500」は主要な500社に投資するものです。他にも日本だとTOPIXや日経平均が有名ですし、最近話題のインドのSENSEX指数、インド株に投資するというのも出てきています。他にも新興国やバランス型、リートなどもあります。
――まず「全世界株式(オルカン)」と「S&P500」を見ていきたいと思います。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
オルカンとS&P500、どっちを買うべきかとネット上でも半ば論争になっているのですが、要は好みの問題です。アメリカ株1本足打法で行きたいという人はS&P500を買えばいいし、アメリカといえどもいつ何があるかわからない、もうちょっと分散しておきたいという人はオルカンにすればいいし。過去24年間、2000年1月からのパフォーマンスでいうと、S&P500の方がリターンは高かったと。リスクはどちらも同じです。細かいことを言うと、小数点第1位とか、オルカンの方がリスクがちょっと低いです。多分この構造は大きくは変わらないと思うので、少しリスクを抑えたいという方はオルカン。目いっぱいリスクを取っていいという方は、S&P500という感じだと思います。
――全世界株式という名前ですが、具体的にどういう中身なのですか。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
オルカンの中身は6割がアメリカです。アメリカ株の部分ではS&P500と大体似たような感じなので、オルカンを買うということはそのうちの6割はS&P500を買っていると思ってくれて構いません。日本は5%ぐらい、イギリス、中国、フランスが3%ぐらいと。オルカンは世界47か国に投資しています。先進国と新興国でいうと大体半々ぐらいです。新興国にも少しずつ広く薄く投資していると。株式の銘柄数でいうと約3000銘柄。かなり分散を働かせることができるということです。
――今インドは国としても成長しているので、気になっている方も多いかと思います。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
24年間でインド株は14倍に増え、リターン12%。リスクもだいぶ高く28%。特に2008年のリーマン・ショックのとき、ガツンと下がっています。600から200まで、3分の1に一気に値下がりしたと。新興国なので、リターンも高いけれどリスクも高いという特徴です。リスクの取り方は慎重に考えなければいけなくて、新興国にありがちなのが期待で買われて、実際は期待ほど成長しなかったりすると、みんなが一斉に売るからガツンと株価は下がります。そういうリスクをはらんでいるということはよく知っておいてほしいと思います。ただ、インドの経済自体は2027年にも、GDPではドイツや日本を抜くという予測もありますから、経済成長自体は間違いないのでしょうが、それが株価と必ずしも同じではないというところは知っておいてほしいです。

――直近12年間、2012年からのグラフを見ると、全然見え方が違います。インドの投資信託がほとんど全世界株式とほぼ同じで、S&P500が一番にきている。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカという国は強いなというのを改めて見せつけられるのですが、インドに関して言うと、手数料を考慮していません。一般的にオルカンよりも、インドの方が手数料が高いので、手数料を考慮するとインドの方がちょっと下に行くと思います。
リスクを比べてください。オルカンは16%ですが、インドは22%。リスクが高いというのはどういうことか。振れが大きいということです。買うタイミングによって、大勝ちすることもあれば大負けすることもあるよと。
インド株をどのぐらい持ったらいいかという質問をよく受けます。人によっては3割ぐらいと言うのですが、僕はちょっとそれはやりすぎだと思っていて、5%ぐらい。多くても10%までかなという感じはします。