年明けに実施される台湾総統選挙まで50日を切りましたが、ここに来て、中国は台湾産食品の禁輸措置の一部について解除に踏み切ることを決めました。狙いはなんでしょうか。
台湾南部・屏東県。農業や水産業が盛んな地域です。
記者
「とれたての魚が並んでいますが、注目してほしいのは、この大きく反り返っている高級魚、ハタの一種です」
養殖がメインの高級魚ハタ。台湾で年間およそ2万トンが生産されていますが、台湾内で消費される分を除いた残りは、ほとんど中国に輸出されていました。ところが去年6月、中国は、禁止薬物が見つかったとして一方的に輸入禁止を発表。
年間およそ240トンのハタを生産、うち9割が中国向けだったという養殖業の陳さんは、この説明には納得していません。
屏東県でハタ養殖 陳啓宏さん
「台湾で再度厳しい検査をしましたが、何ひとつ検出されませんでした」
こうしたハタを含め、台湾と中国の間で貿易が盛んになったのは、中国に近いとされる国民党・馬英九前総統の時代。
恩恵を受けたのは主に「南部の農業や水産業」で、中国と距離を置く民進党の支持層と重なることから、民進党に対する“切り崩し策”だったと言われます。しかし、狙いに反して民進党が政権を握ると、中国は害虫や薬物などを理由に台湾産の2000品目の食品の輸入を禁止したのです。
台湾側は「政治的圧力」だと反発しています。
一方、こちらは南東部の台東県を中心に生産されるフルーツ「釈迦頭」。お釈迦様の頭に似ているためそう呼ばれます。
年間5万トン前後生産され、こちらも輸出先のほとんどは中国ですが、おととし9月、「害虫が検出された」として突如、輸入禁止に。生産農家の王さんは収入が3分の1にまで落ち込んだといいます。
台東県で釈迦頭を生産 王志偉さん
「突然禁輸となって台湾島内でしか販売できず、価格も30元(約135円)程度です」
ところが先月、突然「問題が改善された」として、中国が12月からの輸入再開を伝えてきました。
台東県のトップは、中国に対し融和的な姿勢の野党・国民党の所属。中国側も「国民党からの強い要請があった」と発表しています。
一方、禁輸が続くハタやパイナップルの生産が盛んな屏東県のトップは、現在の与党・民進党所属です。
台東県で釈迦頭を生産 王志偉さん
「心配しているのは、総統選で民進党の候補が当選したら、また(中国が)輸入を禁止するんじゃないか」
総統選が迫るなかでの輸入再開は、選挙にどこまで影響を与えるのでしょうか。
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