複雑な形のトロフィー なかなか製作者が見つからず…
室屋選手から、大切な優勝トロフィーをお借りしました。内側に5大陸を表す5つの色が使われ、全体を黒色で包み込むような形です。美しいこのトロフィー、実は福島県内の企業が作ったものです。メイドイン福島の優勝トロフィー。南相馬の工場の高い技術と若手技術者の情熱が込められています。

航空宇宙産業を始め、震災後、高い技術を持つものづくり企業の集積が進む南相馬市。精密機械加工会社、小浜(こばま)製作所もそのひとつです。従業員12人と規模は小さいものの技術力の高さで知られています。その評判を聞いて、社長のもとにある依頼が舞い込みました。
なんとそれはエアレースXの優勝トロフィー。複雑な形のため、なかなか引き受けてくれる会社が見つからなかったといいます。
小浜製作所・川岸邦彦社長「もう何社か断られたそうで困っていらっしゃった。助けてあげたい」

川岸社長はさっそくトロフィーのイメージを3D設計図に起こします。
川岸社長「僕たちの仕事は作りたい人が思い描いたものを形にできる仕事だと思っている」

小浜製作所は、金属の塊から注文通りに形を削りだす「切削」のプロフェッショナル。100分の1ミリの精度が求められるロケットや人工衛星といった航空宇宙関連の部品などを製造しています。
川岸社長が書いた設計図をもとに、実際に製造を任されたのが20代の若手社員ふたり。ふたりは南相馬市にある県立テクノアカデミーで基本技術を学び、卒業後は技術者としてキャリアを積んできました。

複雑な形を削り出せるこの機械は、タテヨコ高さに加えて回転と傾斜、合わせて5つの仕事を同時にこなすことができますが、微妙な調整も必要です。
入社6年目・鈴木大将さん「人の目に映るものなので、少しでもきれいに見えるように少しずつ刃物の長さを落としていって、削りすぎてしまうと見た目が悪くなってしまう」














