海カキ養殖の土台を揺るがすのは、夏の猛暑だけではありません。海洋プランクトンを研究する、広島大学の小池一彦教授は、「きれいになりすぎた海」にも要因があると指摘します。
広島大学(水産学) 小池一彦教授
「少ない。(カキの)エサがあまりない」

かつて、プランクトンが豊富で、水質が悪かった瀬戸内海…。周辺の川の環境も良くなり、いまでは水質が大幅に改善しました。ただ、プランクトンの栄養となる窒素やリンが失われ、カキが育ちにくくなったといいます。
広島大学(水産学) 小池一彦教授
「プランクトンがいれば、粒子がたくさん浮遊しているので、透明度は低くなる。植物プランクトンが底辺にあって、動物プランクトンが食べて、イワシが食べて、大きな魚が食べられて、ピラミッドになっている。土台の部分がないと、魚にも栄養がいかない」

さらに、カキの生育には、上流の山も重要な役割を果たしますが…。
広島大学(水産学) 小池一彦教授
「山から流れてくる川は、沿岸部に栄養を運ぶ重要な役割をしている。2023年は、全然雨が降らない。栄養不足に拍車をかけている」
こうしたなか、広島大学は、新たな試みをはじめています。
広島大学(水産学) 小池一彦教授
「カキがぶら下がっている水深で、プランクトンが増えてくれないと、エサにならない。機械で強制的に引き上げる」

小池教授が地元の企業と開発した海水を引き上げる装置です。海底は、水面と比べて水温が低く、良質なプランクトンも多く残されているそうです。このため、海底の水を太陽の光が届く水深に引き上げれば、プランクトンが増え、カキも大きくなるのでは…とみています。
10月に行った検証では、装置をつけたいかだで育てた場合、むき身の重さが30%以上増えるなどの研究結果も出ています。ただ、この方法だけが、本来の海の環境に戻す解決策ではありません。小池教授は、山や川の保全などをはじめ、地域全体で話し合っていくべき課題は多いと話します。
広島大学(水産学) 小池一彦教授
「海をきれいにしてきて、いまは青く透き通った海になっているが、豊かな海ときれいな海のいいバランスがあると思う。ある程度の豊かさは、もともと瀬戸内海が持つポテンシャルなので維持していく」
きれいな海は、生き物にとって、豊かな海とは限りません。自然の恵みを受け、できた特産だからこそ、守り続けていくための模索が続きます。














