香川県高松市沖の瀬戸内海に浮かぶ島、大島にある国立ハンセン病療養所「大島青松園」で、2001年から毎年コンサートを開いてきた歌手の沢知恵さんです。
6月21日にコロナ禍での中止を経て、3年ぶりにコンサートを再開しました。沢さんにとって、新たな覚悟を迫るものでした。
■療養所で歌い続ける歌手・沢知恵さん「私はあきらめない」

(沢知恵さん)
「あきらめたら嫌じゃないですか…なんかいろんなことを。あ、鳥が鳴いてる・・・なんて言いながら、私20年前も同じようなこと言ってますからね。『変わんないな』とか思ってるでしょ」

(お祈り)
「きょうのコンサートが、最初から終わりに至るまで、主の御心の…」
毎回一緒にステージに上がる、入所者の東條高(たかし)さんはクリスチャンです。開演直前、2人で恒例のお祈りです。
「アーメン」


♪“うみ”
「うみは おおなみ あおい なみ…」

コロナ禍で2年休止となり、3年ぶり20回目の「大島コンサート」です。観客は入所者と職員に限られました。
■大島青松園 かつて700人いた入所者は40人まで減った


船で高松港から20~30分の瀬戸内海に浮かぶ大島。国立ハンセン病療養所の中で唯一、船でしか渡れない離島施設「大島青松園」があります。かつて700人いた入所者は、高齢化で多くが亡くなり、たった40人になりました。故郷に帰れなかった納骨堂の魂が、終わりゆく療養所の行く末を案じているようです。


(沢知恵さん)
「なんかさ、前は納骨堂に来てのお参りって割と短い時間でできてたんだけど、この中に入った知り合いがすごく増えちゃって、一人一人顔を思い浮かべると長くなるよね」
■入所者と島外の人をつなぐ場 コロナ禍で奪われたコンサート


2001年、沢さんが初めて島で開いたコンサートです。島の外から大勢の人が訪れました。入所者と島の外の人が同じ観客席に座るのは、大島では初めてでした。



あれから21年、いつもは明快な答えを持つ沢さんが今回は壁を感じていました。コロナ禍の中、「歓迎されないコンサート」をなぜやるのか。。。自らに問いかけていました。