岡山県の吉備中央町の浄水場から国の暫定目標値を超える「有機フッ素化合物」が検出された問題です。岡山県は、周辺の沢の水から目標値の1240倍の濃度の「化合物」が検出されたことを明らかにしました。

岡山県の環境管理課が吉備中央町の浄水場に流入する沢の上流部で行った水質調査の結果を公表しました。

(岡山県環境管理課 楠奥浩庸 課長)「採水のできる最上流のF1の地点で6万2000ng/Lとなっています」

これは、有機フッ素化合物の国の暫定目標値の1240倍にあたり、ダム上流9地点を新たに調査した結果判明したものです。

(リポート)「高さ約1mの大きな黒いバッグが次々とトラックに積み込まれています」

検出地点近くの道路脇には、吸着剤として使っていたとみられる使用済の活性炭が入った大型の土のう袋「フレコンバッグ」約300個が置かれていて、検査した12個のうち1つに有機フッ素化合物が含まれていたことも明らかになりました。

県では、調査結果を吉備中央町の対策本部に提出し、専門家を交えて、フレコンバッグとの因果関係などを調査をしていくとしています。改めて、経緯などおさらいです。

今回、問題となっているのは、有機フッ素化合物のPFOSとPFOAです。発がんリスクやコレステロール値の上昇といった健康被害が懸念されるもので、現在では製造や輸入が原則禁止されています。

これらの水道水への混入が明らかになったのは先月。吉備中央町が円城浄水場で、2022年10月に行った調査で国の暫定目標値の28倍にあたる濃度の水が検出されたと発表しました。

町では浄水場から水が送られている522世帯・1000人に対し、飲み水として使わないよう呼びかけるとともにペットボトルで水を配るなどの対応をとっています。そして水源を河平ダムから日山ダムに変更し、水質調査を行った上で今年11月末までには浄水場が復旧する見通しです。

こうした中、岡山県は原因を突き止めるため、浄水場の上流の調査を開始。これまでに13地点を調べ、浄水場より高い、74倍の濃度の水が検出される場所もありました。

そして今回、調査か所を9か所増やし、水が湧き出ている「沢」まで遡って調査したところ、国の目標値の1240倍の「有機フッ素化合物」を含む水が検出されたのです。

さらに、「沢」のすぐ近くで300個の土のう袋・フレコンバッグが置かれているのが見つかり検査した12個のうち1つに「有機フッ素化合物」が残っていました。

岡山県によりますと、300個のフレコンバッグが置かれていたのは吉備中央町の土地で、業者が仕事の一環で15年前から置いていたものだということです。このバッグが原因かどうかは不明ですが、県が関連を調べています。