あす11月12日に開催される「おかやまマラソン」で、1万5000人が出場するフルマラソンに初挑戦する、目に難病がある女性がいます。
走ること、それは「見えなくなっても、諦めなくていい」ということ。ランニングは楽しみとしていつしか大切な心の支えになっていました。
少しずつ視野が狭まっていく「網膜色素変性症」の女性
手さぐりに近い状態で、米を研ぎます。
岡山市内で1人暮らしをしている、大橋恵理さん(35)です。大橋さんは、「網膜色素変性症」という目の難病を患っています。

(大橋恵理さん)
「3合炊くんですけど、釜の『3』の線に水を合わせようと頑張り中です。スマホで60パーセント拡大してますね。こんなもんでいいかな」

「網膜色素変性症」は、少しずつ視力が落ち、視野が狭まっていく病です。
大橋さんは、いま「目の中心部」ではほとんど見ることができず、「目の端」で物や人のシルエットを判別しているといいます。
(大橋恵理さん)
「だから、人と目が合うってことがないんですよ」

病名を知り「きょうこの毎日が送れなくなる...」短大も中退
幼いころから視力は低かったものの、楽しい学校生活を送っていたという大橋さん。病名を知ったのは、高校卒業後の19歳のときでした。
(大橋恵理さん)
「何が見えなくなるっていうよりは、今送っている生活が全て変わる、きょうこの毎日が送れなくなるんだ、という不安が強かったですね」

その後、カウンセラーを目指し心理学を学んでいた短大を、中退しました。
(大橋恵理さん)
「カウンセラーとかそういう仕事に就いたときに、『相手の表情が見えない』とか『笑っているのに涙が流れている』とか、そういうのを見落としたら困るとか。見えなくてもできるようなことを探そうと思って」

夢をあきらめ、障害者向けの職業訓練学校を経て、事務の仕事に就きました。