岡山県吉備中央町の浄水場から国の暫定目標値を超える「有機フッ素化合物」が検出された問題です。吉備中央町は会見を開き、飲み水の使用が制限されている地域の住民の水道料金を3か月分請求しない方針を示し、「一日も早い復旧」を目指すとしました。

(吉備中央町・山本雅則町長)「申し訳ございませんでした」

会見の冒頭で、これまでの対応の遅れなどについて吉備中央町の山本町長が謝罪しました。

この問題は去年(2022年)10月、町内にある円城浄水場で行われた調査で、「有機フッ素化合物」「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」が、1400ナノグラム検出されたものです。

これは国の暫定目標値の28倍に当たる数値で、コレステロール値の上昇や発がんリスクなどが指摘されています。すでに浄水場の復旧に向けて、水源を「日山ダム」に切り替えたほか、ろ過砂の洗浄・入れ替えなどの作業を行っています。

会見の中で、3年前から国の目標値を上回りながら県や住民に報告していなかった件について、「認識不足だった」と改めて陳謝しました。

(山本雅則 吉備中央町長)「水質基準ではなくて、目標管理設定項目であったために、すぐに対応もできておらず、担当者としては『対応が必要との認識がなかった』『認識不足だった』と」

今後、飲み水の利用は、11月末までに再開させたいとしたうえで、円城地区の522世帯約1000人に対し、9月使用分から3か月分の水道料金を請求しない方針を示しました。

(山本雅則 吉備中央町長)「水道料金については、請求はしないと。やはり少なくとも安全な水を配れる体制ができるまでは、そういうようにさせていただくと思っています」

また農業用水も担う「日山ダム」だけでは水の安定供給は難しいとして、今後、県の広域水道企業団が管理する上水を使用することも明らかにしました。今年中に総延長約3.5キロの新たな配水管の設計を完了させ、迅速に接続工事を進めたいとしています。