2つの民族が共に学ぶ学校
ユダヤ系・アラブ系の住民が互いを尊重しあって暮らす村を訪ねた。
エルサレムの近くにあるイスラエルのこの村は「平和のオアシス」と名付けられている。
増尾聡記者
「子どもたちの声が聞こえてますね。ここは、アラブ系とそれからユダヤ系のイスラエル人が一緒に学ぶ学校で、ここは今サッカーをやってますね」
この村にはユダヤ系とアラブ系の住民が共に暮らし、村の小学校には、それぞれの児童が同じ数だけいる。イスラエルではユダヤ系だけの学校、アラブ系だけの学校が一般的だが、ここでは40年ほど前から2つの民族が共に学んでいる。

授業ではアラビア語と元々ユダヤ人が使うヘブライ語の両方を使う。互いの文化や価値観を学ぶ狙いがあり、イスラエルにはこうした学校が他にも複数あるという。
今、起きている争いについて、子どもたちに話を聞いた。
ユダヤ系の子どもたちは…。
ユダヤ系の男の子
「僕のいとこは亡くなった。テロリストが背中を撃ったから。もしテロリストが突然僕たちの村に来たらまずやることは…」
教師「自分を守りたい?」
ユダヤ系の男の子「うん」
ユダヤ系の男の子
「ガザと平和協定を結びたいけど、ハマスは近くにいて欲しくない。いるとしてもできるだけ遠くにいて欲しい」
率直な思いを語る子どもたち。その最中にも、頭上ではジェット機の音が響く。アラブ系の子どもたちはこう話す。
アラブ系の女の子
「ガザにいく軍の飛行機」
アラブ系の女の子
「ガザの人は何もしてないのに、なぜ空爆されるの?早く戦争が終わってほしい」

私たちは22年前(2001年)にも、この村を取材していた。このとき行われていたのが、ユダヤ系とアラブ系の高校生による「対話セミナー」だった。
ユダヤ系少年
「僕はテロに対するテロに賛成しているだけだ」
アラブ系少年
「イスラエルで起きているテロは、アラブは報復だと考えているから、君はテロ自体に反対できない」
ユダヤ系少年
「僕はそれは、彼らのテロに対する報復だと思って…」
少年たち
「両サイドが報復だと考えていたら終わらないぞ」
どうしたら争いをなくせるのか、互いの意見をぶつけあう。
小学校の子どもたちは一緒に踊り、笑っている。こうした試みの一方で、今回の軍事衝突の終わりは見えない。
しかし、ここで学ぶ子どもたちは、未来は変えられると信じている。

増尾記者
「みんなが友達になって平和を築くにはどうしたらいいと思う?」
ユダヤ系の男の子
「僕の親友はアラブ人」
アラブ系の女の子
「私の親友もユダヤ人」
増尾記者
「いつか、イスラエルの人とアラブの人が一緒になれることを信じている人は?手をあげて…みんなそう信じているんだね」
ユダヤ系の男の子
「扉を開くかヘリコプターでガザの罪のない人たちを逃がした方がいい。アラブの人と、ユダヤの人たちの間に平和はやってくるよ」
