止まらぬガザの人道危機
ガザへの検問所があるエジプトで支援物資の搬入に取り組む清田明宏さんに聞いた。
村瀬記者
「燃料の状況、あとどれくらい持ちそうだと見ていらっしゃいますか?」
国連パレスチナ難民救済事業機関 清田明宏保健局長
「このまま使うと1~2日ぐらいしかもたない。いろんな議論があって、政治的に今回ほど複雑なことはなく、今回ほど被害が大きく先が見えない戦争はない」

ガザの市民が危機的な状況に陥る中、イスラエルを支持しているアメリカに微妙な変化もみられる。
国連安保理に「戦闘の一時的な停止」を求める提案を出したが、ロシア・中国などの反対で否決された。一方、ロシアの「即時停戦」を求める提案はアメリカ・イギリスの反対で否決となった。
その後、国連総会では「人道的休戦」などを求める決議を採択。しかし、この決議に法的拘束力はない。

国連パレスチナ難民救済事業機関 清田明宏保健局長
「私の立場で言えるのは、人道支援が必要な非常に厳しい状況であるということ。今ガザに必要なのはまず停戦するということ。必要な物資を届けること。そして国際社会が一緒になって戦争を終わらせる方向に進んでいく、そういうふうにしていただければと思う」
そんな中、イスラエルのガザへの地上侵攻はどうなるのだろうか。
イスラエル国内では、人道的な理由や人質の命を優先すべきだとの理由で地上侵攻に慎重な声が高まっている。

友人が人質になっている女性
「今はそのタイミングではない。地上侵攻すれば人質が死んでしまう」
しかし専門家は、イスラエル政府にとって地上侵攻は避けられないという。地上侵攻では、ガザの大勢の市民が犠牲になる可能性が高いという。
慶応義塾大学 錦田愛子教授
「空爆だけで人質の居場所の情報をもちろんつかむこともできないですし、あとはトンネルの破壊。ハマスの拠点の破壊ということも大きな目的になってきます。特に北部、イスラエル側に近い攻撃が届きやすい場所については徹底的に破壊される可能性は非常に高い」

ただ、ハマスを壊滅させることができても根本的な解決にはならないと話す。
慶応義塾大学 錦田愛子教授
「軍事組織のメンバーを全員殺したとしても、その思想に共鳴する人がいればいくらでも新たなメンバーが増えていくわけですね。そういった意味では組織を根絶するってことは物理的には不可能なんですね」