ニュースを見た弟からの電話にトランスジェンダーの男性は「職場で涙が出た」と語りました。性別変更の際に生殖能力をなくす手術が要件となっていることは「違憲」と最高裁が初めて判断、「過酷な二者択一」と指摘しました。

戸籍上は女性 性自認は男性 合田貴将さん(29)
「自分の人生がかなり変わるので、朝から本当にドキドキしていました。(ニュースを見た)弟が電話をしてきて『本当によかった』ってずっと泣いていたので、弟が泣いているのを電話越しで聞いて、職場にいたんですけど涙が出ちゃいましたね」

最高裁大法廷が示した歴史的な判断。戸籍上の性別を変える際、生殖能力をなくす手術を受けなくてはならない規定について、「違憲」としたのです。

最高裁
「手術か性別変更断念かの過酷な二者択一を迫っている」

トランスジェンダーが戸籍の性別を変えるには、5つの要件が定められています。(性同一性障害特例法)
(1)18歳以上
(2)結婚していない
(3)未成年の子どもがいない
(4)生殖腺・生殖機能がない
(5)変更する性別に近い性器の外観を備えている

4番目と5番目があることから、事実上手術を受けることが必須となっていて、その目的は社会の急激な変化を避ける必要があるからなどとされています。

この規定について「手術の強制は重大な人権侵害だ」と訴えたのが、戸籍上は男性で女性として社会生活を送る申立人。手術なしでの性別変更を求めていますが、これまで退けられてきました。そして25日、最高裁大法廷は4つ目の要件について、「違憲」と判断。

最高裁
「(性同一性障害への)理解が広まりつつあり、社会全体にとって予期せぬ急激な変化に当たるとまではいい難い」

一方、5つ目の要件については審理を高裁に差し戻したため、申立人の性別は変更されませんでした。

国会は今後、法律の見直しを迫られることになります。

戸籍上は女性 性自認は男性 合田さん
「自分の道が開けたことと同時に、責任感のようなものを感じました。性犯罪が起きないような仕組み作りを話し合っていくべきなんじゃないのかな」