女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝(11月26日・宮城県開催)の予選会であるプリンセス駅伝が10月22日、福岡県宗像市を発着点とする6区間42.195kmのコースに31チームが参加して行われた。創部7年目の岩谷産業が2時間18分46秒で初優勝したが、MGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ。パリ五輪代表3枠のうち2人が決定)出場選手を擁するチームは、完走すればクイーンズ駅伝出場権が与えられる特別措置が適用された大会。MGC出場選手の多くが出場を見合わせた。5位(2時間20分23秒)の天満屋と9位(2時間21分03秒)のユニクロはMGC選手たちが加われば、クイーンズエイト(クイーンズ駅伝8位入賞)が期待できる。故障の影響でエースの岡本春美(25)を外して7位(2時間20分37秒)だったヤマダホールディングスも、上位戦線に加わるチームだろう。
MGC選手4人を外してもプリンセス駅伝5位の天満屋
天満屋は東京五輪代表だった前田穂南(27)、19年世界陸上7位入賞の谷本観月(28)ら5人がMGC出場資格を有し、そのうち4人が出走。松下菜摘(28)が5位、谷本6位、前田7位と3人が入賞した。プリンセス駅伝は松下が4区に出場したが、MGC出場資格選手4人を外し、武冨豊監督も「8位は入れないだろう」と考えていた。
しかし3区の立迫志穂(19)が区間6位で9人抜き、チームを10位に浮上させると、4区の松下、5区の𠮷薗栞(24)が10位をキープ。アンカーの西村美月(18)が区間賞の走りで5人抜き。「大収穫」の5位を達成した。
「2年目、1年目の2人がしっかり、最後まで粘り強く走ってくれました。これでMGCメンバーが戻ってきて競い合えば、相乗効果でチーム状態が上がります。クイーンズエイト獲得に向けて弾みになりましたね」
課題は「スピードランナーがいないので、1区と短い区間」だと武冨監督。だが1、2区なら区間10番前後で、インターナショナル区間の4区なら日本人3位程度で確実に走れば、3区や5区、天満屋の区間賞も多い6区で取り戻せる。
MGCの前田は悪コンディションや自身の力みで不発に終わったが、練習は優勝した19年MGC前より良かったという。前田が3区で区間上位の走りをすれば、クイーンズエイト復帰は難しくない。
MGC選手プラス新加入の2選手で戦力アップのユニクロ
ユニクロはMGC出場の吉川侑美(32)だけでなく、アジア選手権10000m代表だった川口桃佳(25)、昨年の2区区間6位の康本花梨(27)の2人が新型コロナ感染で欠場。9位に終わったが、3区終了時には2位を走り、長沼祥吾監督も「収穫」と評価した。
吉川は1500mからマラソンまで走れる選手で、クイーンズ駅伝の前回は5区で区間3位、2年前は3区で区間5位の実績がある。川口は前所属で出場した前回、3区で区間6位。今回のプリンセス駅伝3区で区間9位の平井見季(27)も、「8km以降が課題だとわかった。1か月でクリアできれば面白い」と長沼監督。3人を1、3、5区のどの区間にも起用できる。
さらにプリンセス駅伝2区で後藤夢(23)が区間2位、1500m世界陸上ブダペスト代表だったスピードを発揮した。「ラスト300mが伸びませんでしたが、残り1か月で練習ができれば期待できます」(長沼監督)。川口同様、新加入した選手が戦力になる。
さらには中村(旧姓荘司)麻衣(29)がプリンセス駅伝1区で区間9位。「粘り強く走ってくれた。アンカーにも安心して起用できる」と長沼監督。
過去最高の7位を狙う戦力は整った。長距離区間候補の3人はトラックのスピードもある。先頭集団の流れに上手く乗ることができれば、さらに上の順位に進出する可能性もある。