岸田総理は23日の臨時国会で、一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」について導入を検討する考えを示しました。ライドシェアについてタクシー業界や街の声を取材しました。

岸田総理:
「地域交通の担い手不足や移動の足不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んで参ります」
所信表明演説で岸田総理が取り組むとした「ライドシェア」。
一般ドライバーが有料で乗客を運ぶサービスで、アメリカなど海外では普及しています。利用者はアプリを立ち上げ目的地を入力、自分のいる場所に車を呼ぶことができます。アプリ上には経路と料金が示され、マッチングが成立した車のナンバー・種類・色も表示されます。ドライバーにとっては、アプリを介して好きな時に好きな場所で仕事ができるのがメリットです。

一方、日本国内では、自家用車が客を運ぶことは「道路運送法」で原則禁止されていて、導入については安全性確保の観点などからタクシー業界から反発の声もあがっています。
ライドシェアについて富山県タクシー協会の会長で富山交通の土田英喜社長は…。
富山交通・土田英喜社長:
「ライドシェアと言われますと、我々がイメージするのは、ウーバーであったり中国ではディディだったり、スマートフォンで一般のドライバーの方とのマッチングを図って、そして、移動するというサービスなんですけど、そういったサービスであれば、我々タクシー業界とすれば、国民の安全安心を守る上では、断固反対していくという気持ちでおります」

「ライドシェア」導入検討の背景にあるのはタクシーの不足です。
コロナ禍を経て全国のタクシー運転手の数はコロナ前より約2割減少。新型コロナの5類引き下げなどで需要が回復するなか、人材確保が急がれますが二種免許取得のハードルなどから人材が集まらず…一部の観光地や過疎地域ではタクシー不足が深刻化しています。
富山交通・土田英喜社長:
「供給力不足になっているということは認めざるを得ないような状況ではある。業界的には最終的にはタクシーの乗務員を増やしてタクシーでやるのがいいんですよということは言いたい。でもそれまでの間、少し時間がかかるので、なにか別の方式をいれなきゃだめだと言われたら、それは全然違いますよねとは言い切れない」
ライドシェア導入の動きに街の声を聞きました。
記者: 「利用する立場としては?」
女性2人組:「不安でいっぱいかもしれない」
「会社に所属していないような人なので、
行こうと思えばどこでも行けちゃいそうで…」
男性: 「たしかにでもそういうの必要でしょう。
どうしても運転手不足とかいろんな問題で
そういうこと出てますからね」
男性: 「いいと思います」
「運賃が割安になると思いますし、
しっかり運転手さんの資格とかを
規制するようなものがあれば安心できる」
岸田総理は所信表明演説でライドシェアについて導入を検討する考えを示しましたが、ライドシェアをめぐっては、安全性の確保に課題があるとして自民党内からも慎重な意見が出されていて、臨時国会でも大きな議論となりそうです。

富山交通・土田英喜社長:
「どうしてもタクシーが不足する地域、あるいは季節状況に応じて、タクシー会社が運行管理も担いつつ、安全を担保した中で限られた中で運行するということではないかという風にも(一部報道を通じて)聞いておりまして。中身にしっかりと業界として入り込んで、公共交通機関として役割を果たしていくと主張していきたい」