都内の小学校で、インフルエンザによる今季初の“学年閉鎖”措置がとられました。世界で見ても、コロナ禍で落ち着いていた流行の波が、増加傾向にあります。
なぜ夏のこの時期にインフルエンザなのか?今後日本で流行する可能性は?専門家に聞きます。

■マスクや黙食…感染対策を実施中でも、小学校で“学年閉鎖”

東京都内で、インフルエンザで学年閉鎖となった小学校があります。
6月17日から、3年生のクラスで発熱などで欠席する児童が急増。さらに咳や喉の痛みを訴える児童が増えました。3年生合計45人のうち14人がインフルエンザに感染したことが判明し、21日、22日の2日間、3年生の2クラスを学年閉鎖するという措置を取ったということです。東京都内の公立学校でインフルエンザによる臨時休業措置を取ったのは今シーズン初めてで、2年3か月ぶりとなります。


インフルエンザには、38度以上の高熱や頭痛、倦怠感などの症状があり、子どもは中耳炎や気管支喘息になることもあります。

日本ではインフルエンザは冬に流行るとされています。1月から3月ごろに患者数が増加し、4月から5月にかけて減少するというのが毎年のパターンですが、流行の程度とピーク時期は、その年によって異なります。

現在多くの小学校では、屋内ではマスクを着用し、黙食も徹底されています。屋外ではマスクを外すことを推奨されてはいますが、なぜこの時期に多くの児童がインフルエンザに感染するのでしょうか。

■「夏のインフルエンザは見逃されやすい」専門家の見解は

ーーなぜ夏にインフルエンザが流行したのでしょうか。

東北大学大学院 小坂健教授:
インフルエンザは高温多湿が苦手なので、通常寒くて乾燥している時期に流行ることが多い。ただ調べてみると、一年中かかることはあり得ます。例えば香港など亜熱帯の地域でも、ずっと出ていることは出ているんですよね。起こりうる可能性はあるが、なかなか今まで見つかってこなかったという部分があると思います。
コロナとインフルエンザの両方を診断できるキットもできていますが、今の時期はあまりインフルエンザの可能性を疑わない。日本では、ワクチンも10月頃から始まります。そこからインフルエンザシーズンとしていろいろな調査が活発化するので、それ以外の時期は見逃されていた部分はあると思います。

ーーどのような対策が必要ですか?

小坂教授:
新型コロナの対策と基本的には同じで良い
と思っているので、この話があったからと言って、「マスクを外すのをやめよう」とかそういう話ではないと思うんですね。逆によくインフルエンザを発見できたなというふうに私は思っています。

ーーワクチンを打っていなくても、タミフルやリレンザなどの薬は効きますか?

小坂教授:
ワクチンを打っていなくても、治療薬の効果は非常にあります。ワクチンも、「不活化ワクチン」なので、感染を予防するというよりは、重症化の予防という形になります。