北アルプス黒部峡谷の下ノ廊下(しものろうか)は、断崖絶壁に作られた狭い登山道を歩く上級者に人気のルートです。
その一方、事故が多発していて17日も74歳の男性が滑落し、死亡する事故がありました。

葉が色づきはじめ絶景が広がる黒部峡谷・下ノ廊下。下を見ると恐ろしいほどに切れ落ちています。

崖をくりぬいた「水平歩道」と呼ばれる登山道。ここで17日事故が発生、午後4時40分ごろ阿曽原(あぞはら)温泉小屋に「男性ツアー客が転落した。下を覗いても確認できず、呼び掛けにも応答がない」と通報が。

大阪府の木村修治さん(74)が「水平歩道」の標高950メートル付近から滑落。木村さんはガイドを含めた7人で黒部ダムから欅平に向かう一泊二日の登山ツアーに参加していました。

「水平歩道」は狭いところで道幅が60センチほどしかないといいます。

通報を受けた阿曽原温泉小屋の佐々木代表は。

阿曽原温泉小屋 佐々木泉代表:「ずっとそんな道ばかりなので、要は集中力を途切らせずに歩いてもらわないといけないところ。結構長い行程で、時間もかけて来ていたので、集中力が途切れ始めていたのか。つまづいてすぐに反応できなかったのが原因じゃないか」

県警の山岳警備隊と県の消防防災ヘリが捜索したところ、17日朝、水平歩道から110メートルほど下で木村さんを発見。まもなく死亡が確認されました。

2019年、下ノ廊下では10日余りで40代から70代の男女5人が相次いで亡くなる事故があったほか、毎年事故が起きているのです。

阿曽原温泉小屋 佐々木泉代表:「黒部にけがなしって言うことば昔からある。落ちたら死ぬということ。木がいっぱい生えているようなところでも、ひと転がりしてちょっと落ちたら、その下にズドーンと、断崖絶壁になっているところがいっぱいあるので、落ちたらとまらないところ。そんなところを歩くには体力と持続した集中力を持って入ってきてもらわんなん」

佐々木さんが聞いたツアーの参加者らの話によると木村さんはつまづいて、そのまま転落したということです。黒部にけがなし県警は余裕を持った計画で登山をするようよびかけています。