高知県土佐町の今と昔の風景が5年の歳月を経て絵本になりました。町の四季の移ろいや実際の町民が登場する絵本の原画展が土佐町で開かれています。

“絵の中で四季折々の町を散歩するように”土佐弁で「うろうろする」を意味する「ろいろい」と名付けられた絵本。描いたのは世界中を旅しながら人々の肖像画を描いてきたイラストレーター下田昌克(しもだまさかつ)さんです。2017年に町からの招きで絵筆をふるったのを機に町との縁を深めてきました。下田さんは定期的に町を訪れては町内をろいろいし、風景や町民の似顔絵を描きました。町の情報誌“とさちょうものがたり”の表紙を飾ってきた下田さんの絵は、独特の色使いから町外からも好評です。その下田さんが町民のリクエストに応え手がけた絵本は、コロナ禍を経て5年の歳月をかけて完成しました。

会場を訪れた町の人たちは、風景を懐かしんだり、絵の中に描かれた知人を見つけてはうれしそうにしたりしていました。

(土佐町民)
「これ私らしいです。しわがないのがうれしいな。私もこの街角で写真を撮ったことあるんですよ、ここで!元旦の日に友達と並んで車が通らないときに。あの写真どこへ行ったんやろう」
「同級生の家に行ってね、イモをこれでやってもろうて食べらせてもらったのを思い出すねえ。もう何十年…70年?…昔の話。(もう一回)食べてみたいねえ」

絵本「ろいろい」は地元の保育園や小中学校に配布されるほか、高知市の蔦屋書店や金高堂書店本店で販売されています。のどかで懐かしい景色に出会える絵本「ろいろい」の原画展は18日まで土佐町の郷土学習センターで開かれています。