「五輪への思いが強すぎてやりすぎてしまった」(今井)

――現在の思いは?
今井:オリンピック選考で勝負をしていくのが4回目です(11年福岡国際、16年東京、19年MGC)。狙えたことも何回もあったのですが、なかなか代表を手にすることができませんでした。思いが強くなりすぎて練習をやりすぎてしまったり、周りが見えなくなってしまったりしていた部分が正直、過去にはあったのだと思います。その反省も踏まえてしっかりと1つ1つ、客観的に自分を見ながら積み上げることを意識してここまでやってきました。

――昨年の大阪マラソンでは引退も考えて臨みました。そこで結果を出して今回、再度MGCに臨むわけですが、その過程で心境の変化は?
今井:
大阪の時に自分自身がどのように競技に向き合うか、どのように取り組むかでパフォーマンスが違うとわかりました。こっちだな、というのが感覚というか、そういう部分でつかめたものがあったんです。以前は力任せというか、気持ちだけで突っ走った部分もありましたね。馬に例えるなら人馬一体と言うべきでしょうか。心技体、そういうところを一体とさせるような取り組みを1つ1つ意識してやってきました。それを35~36歳でわかりましたと、39歳になった今言うのもなんですけど、前回のMGCから大阪に向けてもそうでしたし、今回のMGCに向けても1つ、そこが鍵になるんじゃないかと思ってやってきました。

「悪天候、悪条件は追い風になる部分」(今井)

――どんな経験が役立ちそうですか?
今井:
皆さんご存じの通り、マラソンの成功はそんなにありませんけど、走り方というか、引き出しの多さですね。今日パンフレットを見て思わず笑ってしまったんですが、川内優輝(36、あいおいニッセイ同和損害保険)君の120何本(129本)のレースが記載されていて、僕の20本くらいのレースは小さく載っているようにしか見えない。でも、本数もそうですし、当日雨予報ですが、天候なども色々思っていたのと違ったときにどういう感覚で走るかとか、数多く経験してきています。悪天候、悪条件は自分にとってプラスになる部分かな。そういうところを追い風、味方にしながら気持ちを切らさずゴールまでつないで行きたいな、と思っています。

――まだまだ若い選手に負けないぞ、という気概は?
今井:
気概と根性は常に持っていますよ。年齢に関してはやはり、(単なる)数字だと思っています。世界を見ればE.キプチョゲ(38、ケニア。2時間01分09秒=世界歴代2位)選手だったり、K.ベケレ(41、エチオピア。2時間01分41秒=世界歴代3位)選手だったり、第一線で活躍する選手もいっぱいいます。今回のMGCに向けても同学年の岡本直己君とも合宿や、色んなところで一緒になることもありました。そういうところで刺激をもらいながらやっていますが、年齢は本当に数字だと思っています。スタートラインに立ったとき年齢で勝負できるんだったら、僕と岡本君が1番をいっぱい取らせてもらえるんじゃないかな。そういう期待もありますけど(笑)、そういうところの勝負じゃないというのはわかっていますので、年齢がどうだというところは意識していません。もちろんやれること、やれないことは色々変化していますけど、今の方がやることに対しての意識は、若かった頃よりも上手く持ってやれています。先ほども言いましたが、ノリと勢い、力でねじ伏せる、みたいな時代を経て今があります。ちょっとは頭を使いながら、競技ができるんじゃないかと思っています。