「施設や学校、避難所を攻撃の対象から外して」

一方、イスラエル軍の報復攻撃を受けているハマスの支配地域・ガザでは、イスラエル軍が昼夜を問わず、ミサイル攻撃を繰り返している。
ガザの住民
「車を出せ、早く行け」
瓦礫と化した街。
原型を留めないほど破壊された建物。
多くの民家が被害を受け、パレスチナ保健省の発表によると、これまでに1900人以上が犠牲となった。

村瀬キャスター(2018年の取材)
「こちらガザ地区内にある病院ですけども」
5年前、村瀬キャスターが取材したアル・シファ病院は…
イスラエルの攻撃直後からケガ人が次々と運び込まれ、病院前は人でごった返していた。
大人だけでなく、多くの子どもたちが手当を受けていた。

ガザの住民
「私は子どもたちと家で寝ていました。朝、雨のようにミサイルが降ってきて、瓦礫が落ちてきて、子どもたちは逃げ惑いました。私の娘は頭を負傷しました」

ガザの住民
「この子は怖がって、いつも叫んでいます。生後6か月の男の子がいます。空爆が激しく、おむつも粉ミルクも何も持ち出せませんでした。被害者は、みんな女性や子どもたちです。彼らが何をしたというんですか」

遺体を前に呆然とする男性。家族8人を失ったという。
ガザの住民
「難民キャンプで安全を確保していました。しかし、そこも危ないと言われて別の街に移動し、アパートの部屋に滞在していましたが、午前4時ごろ突然攻撃を受けました。父、兄、おじ、いとこや親戚、妊娠中の妻を失い、私だけが生き残りました」
ミサイルなどによる攻撃だけではない。
イスラエルは、ガザへの電気や燃料、食糧などの供給を遮断し、“完全封鎖”している。

パレスチナメディアによると、11日にはガザ唯一の発電所が燃料不足で稼働を停止。
パレスチナ保健省は、ガザの医療システムが崩壊の危機にあると訴えている。

国連が運営するガザの学校には、攻撃で自宅を失った人たちが身を寄せていた。
現在、ガザ地区の80以上の学校に、あわせて約18万人が避難しているが、食糧や水などの備蓄が底をつきそうになっているという。

女の子
「朝起きて顔を洗おうとすると、水が出ない。シャワーも出ない。いい生活ではありません」
避難所となっているこうした学校も、イスラエルによる空爆で被害を受けた。

国連パレスチナ難民救済事業機関 タマラ・アルリファイさん
「みなさん、非常に強い不安と恐怖を感じています。我々の施設や学校、避難所を攻撃の対象から外して保護してほしい。紛争に巻き込まないでほしいのです。そして、人道支援のためガザへの出入りも許可してもらわなければなりません」

ガザは“天井のない監獄”とも呼ばれる。
2007年以降、イスラエルはガザの境界を封鎖し、人やモノの行き来を厳しく制限してきた。
40年以上、ガザで暮らしている男性。
イスラエルの報復を恐れ、匿名を条件に取材に応じた。

ガザの住民
「人々は食糧不足に苦しんでいます。ガザの人たちは暗闇の中で生活していて、夜は真っ暗です。私たちには日本や世界の人々と同じように尊厳を持ち、人道的な環境で生きる権利がないのでしょうか」
今回の状況について、ハマスの報道官が私たちの電話取材に答えた。
Q.イスラエルがガザに反撃することは予想されていましたよね。ガザの民間人の犠牲についてどう思いますか?

ハマスの報道官 アブドル・ラティフ アル・カヌーウ氏
「そもそもガザは包囲され、ずっと攻撃され続けているんですよ。我々はイスラエル軍の侵略を撃退し、追放するために、あらゆる手段を駆使し、民衆とともに断固とした態度で臨むでしょう」

イスラエル軍は、ガザの住民に退避を求めるビラをまいたが、ハマスは無視するよう呼びかけている。
11日、ハマス側の主張にパレスチナ当局は…
膳場貴子キャスター
「パレスチナの人の多くは、ハマスの存在と今回の攻撃を支持しているのでしょうか?」

駐日パレスチナ常駐総代表部 ワリード・シアム 大使
「イスラエルは、イスラエル人とパレスチナ人、双方を人質として捕えています。(ハマスによる)たった一日の攻撃が非難されていますが、それは違います。イスラエル軍の75年にわたる占領こそ、非難されるべきです」
互いに憎しみを深める双方の市民たち。その狭間で複雑な感情を抱く人たちがいる。