「まだまだ成長する。これで終わりでは全くない」

Q.タイトル戦が続いてる。研究をしている暇はあるんですか?

「 正直ないと思います。研究だけに割く時間は他の棋士の方が絶対多くて。ですから、そういう意味で藤井八冠は、これから時間との戦いとうか、“調整”ですよね。防衛戦ばかりになって、いかにいい状態でタイトル戦を戦うか。ということも考えなくてはいけないと思います」

Q. あのぐらいのレベルになると、対局しながら、それを研究に変えていくっていうことも?

「十分それはありますね。ですから、次の対戦相手の研究にこれだけの時間を割くっていうのはなかなか難しいんですけども、そのタイトル戦を戦いながら、その真剣勝負のタイトル戦でまた新たに学んでいく、そこでまた成長していくという、そういうスタイルになっていくのかなと思います」

Q.そう考えるとAIって進化しているって言われますが、藤井八冠も進化が止まらない感じがしますね。

「本当にここまで真っ直ぐ成長してきたし、これからもそうだと思うんですね。『八冠』っていうと、 人はもう目的地にたどり着いたような感じで捉えがちなんですけど、まだまだ成長しますし、これで終わりでは全くないので。記録という意味でも、まだいくらでも将棋界いくらでもありますからね。その勝率、例えば9割とか30連勝とか、本当にいくらでもあるので。また、わかりやすい形の何か大きな記録を打ち立ててくれるんじゃないかなっていう気もしています」

Q.我々凡人は八冠取ったら、もうこれで一区切りだっていうふうに思ってしまいますけども、そうじゃない高みを目指してるんですかね?

「そうですね、もちろん本人の気持ちの中では、記録だけではない、将棋の真理を追究するというものがありますけども、目に見えるもので言っても、もしかしたらタイトルだって『九冠目』がね、作られるかもしれないですしね。そういうこともあり得ますし、自身のもつ29連勝を更新するような連勝記録を作り上げるかもしれない。年間勝率8割以上ありますけども、もしかしたら夢の9割だってね、狙えるかもしれない。いくらでもあるんですよ。最終的には羽生善治九段のタイトル99期という記録がありますから、それを目指していくのかと思います」

Q.目標っていうのは、まだまだ将棋界では尽きないってことですね。

「彼は自分で設定していくので。それを分かりやすい形で私たちにまた見せてくれると思います」