旧統一教会との関係を絶つとする富山市長の発言などが宗教ヘイトにあたるとして旧統一教会の関連団体・富山県平和大使協議会が、富山市に損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が、11日富山地裁で開かれました。原告代表である鴨野守氏は会見で、政府が13日にも教団に対する解散命令を請求する方向で調整していることついて「やり方がフェアではない」と政府の対応を批判しました。

教団の元広報局長で、教団の関連団体・富山県平和大使協議会の代表理事を務める鴨野守氏は、11日の会見で次のように述べています。
富山県平和大使協議会 代表理事 鴨野守氏:「私たちの教団で、こういうことをマイクで言うのもあれだけど、つまり『殺人事件やってました』(というのなら)『どうぞどうぞ潰してください』と私は言いますよ。そういう解散しても仕方がないというような、明々白々たる証拠があるのであれば『どうぞ』と言います」
教団に対する解散命令請求について文化庁は、12日「宗教法人審議会」で諮問を行ったうえで、13日にも東京地裁に請求する方向で調整しているということです。
これについて鴨野氏は「解散命令ありき」だと批判しています。
富山県平和大使協議会 代表理事 鴨野守氏:「教団の改革を見守る。そしてそれを指導していただくという選択肢がなぜないのか。もう最初から解散命令ありきというゴールに向かって証拠集めしてますというやり方は、私は大変フェアではないと、そう個人的に思っています」
文化庁は教団に対し、去年11月から7回にわたって質問権を行使したほか、高額献金の被害者の証言を集めてきました。なかにはチューリップテレビの取材で5年前に県内の教会の女性幹部が、偽造した委任状を使って信者の息子の郵便貯金を無断で引き出させ、献金させていたことなどが明らかになっています。

毛田キャスター:「県内でも元信者の方で息子の貯金を解約するために委任状を偽造されたりだとか、献金は自由意志だとする念書を書かされた信者も実際にいらっしゃって、教団側もそれは把握しています。そのことについてどう受け止めていますか」
富山県平和大使協議会 代表理事 鴨野守氏:「2018年うんぬんということでぼかしてあった。そして委任状のごときものが映っていますが、あれは本物ではないと思っております」
鴨野氏は委任状は郵便局に提出され、教団や元信者がコピーしている可能性も極めて低く本物ではないと主張したうえでこう述べました。
富山県平和大使協議会 代表理事 鴨野守氏:「それ(委任状の偽造)が、組織的で継続的に行われているというものではない。そこにおいて、もし職員が関わっているならばそれは然るべき教団としての対応がなされるのが筋だと思っている」
この会見に先立って11日は富山地裁で県平和大使協議会が、富山市に損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が開かれました。

訴状によりますと、2022年8月以降、富山市の藤井市長と市議会が旧統一教会及び関連団体と関係を絶つと発表または決議したことは宗教ヘイトによる人権侵害や名誉棄損にあたるとして市に対し、2200万円の損害賠償を求めています。
裁判では鴨野氏が意見陳述を行い、市長の決意表明や市議会の決議によって県平和大使協議会に対する議員からの辞任届や主催イベントなどに対する市の後援取り消しが相次いだとし、「私たちの活動実態を完膚なきまでに叩きのめし、公然と差別的な扱いを宣言するものだった」と主張。
そのうえで「県平和大使協議会への名誉棄損であり国際人権規約で禁じられている宗教ヘイトそのものだ」と訴えました。
富山市側は宗教ヘイトにはあたらないとして請求棄却を求め、具体的な主張は次回行うとしました。
毛田キャスター:「第1回弁論を終えた率直な今の思いをお願いします」
富山県平和大使協議会 代表理事 鴨野守氏:「平和大使協議会は年間数十件のイベントをしていました。議員さんの市政報告や県政報告、また先生方のお誕生会とか。いろんなことをやって私のスケジュール表はいっぱいでありました。ところが去年の(銃撃)事件以降、本当にそういう先生方と簡単に会うこともできないような状況が生まれてまいりました。私の意見が、主張が法廷で認められ、富山市にも態度を改めていただきたい」
また11日は信者の男性が富山市議会の決議取り消しを求めた訴訟の第3回口頭弁論もありました。前回、原告が追加で主張していた決議が宗教ヘイトにあたるとの指摘について、市側は「宗教を理由とする決別を宣言するものではない」として否定しました。2つの裁判は次回いずれも12月13日に開かれます。