(キャスター)
大崎事件の取材にあたっている富山記者とお伝えします。きょう22日の決定をどのように感じていますか。

(記者)
今回の主な争点は2つでした。男性の死因と死亡時期、そして、被害者を救助した住民2人の供述の信用性です。

確定判決によりますと、男性は事件のあった日の午後8時ごろ、酒に酔って自転車ごと道路わきの側溝に転落しているのが見つかりました。その後近くの住民2人に救助され、軽トラックの荷台で自宅に運ばれました。そして午後11時ごろ、原口さんらが男性の首をタオルで絞めて殺害したとされています。

今回、弁護団は「殺害時刻とされる午後11時より前に、自転車事故による首の損傷や内臓の大量出血で死亡していた」とする救命救急医による新たな医学鑑定を提出。「他殺ではなく事故死」と主張しました。

これに対し、鹿児島地裁は22日の決定で、「事故によって首を損傷した可能性はあるが、首を絞められたことによる窒息死とする確定判決に疑いは生じない」とし、事故死とする弁護団の主張を退けました。

(キャスター)
次の争点が、男性を救助し軽トラックで運んだ住民2人の供述の信用性でしたね?

(記者)
弁護団は「救助した住民2人の“生きていた男性を自宅に運び入れた”という供述は虚偽である」とする心理学の専門家などによる鑑定書を提出しました。
これについて鹿児島地裁は「住民2人の供述は信用できるもので確定判決を覆すものとは言えない」などと結論付けています。

(キャスター)
22日、地裁は棄却しましたが、大崎事件はこれまでに3回裁判のやり直しが認められています。ただ、いずれも検察が不服として抗告を行い、覆されています。やはり、再審請求、裁判のやり直しというものは、ハードルが高いものなのですか。

(記者)
22日の決定文の最後は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠には当たらない」と締めくくられています。つまり、再審請求では、無罪を証明する必要があるということになります。開かずの扉とも言われる再審制度の課題について専門家に聞きました。

(鹿児島大学(刑事訴訟法) 中島宏教授)
「無実を証明しなければいけないのではなくて、有罪であることについての合理的な疑いが一片でも生じれば再審は開始する。こういう考え方で運用されなければならない。
ところが、実際にその考え方の通りに運用されているかというのは非常に難しい問題。再審で無罪を勝ち取るのは非常に難しいし、時間もかかる。この時間を見れば象徴的に表れている」

(キャスター)
無罪を勝ち取るのは難しいというお話もありました。原口さんは95歳と高齢で、支援者からは一刻も早く再審を認めて欲しいとの声も聞かれますよね。

(記者)
そうですね。殺人犯として10年服役した一人の女性が、逮捕当初から43年間、一貫して無実を訴え続けているという現実があります。
そして、裁判所がこれまでに3回、再審を認めているにもかかわらず、いまだに裁判のやり直しは行われていません。再審制度の課題やそのあり方が問われているように感じます。弁護団は即時抗告する方針です。